【実況者】勝つのは愛か、人狼か。【平和組】

7日目ー昼ー ページ25

「今までクラスメイトを殺したのは俺だよ」





無言の空間に響くキヨの声
思わず耳を塞ぎたくなる





「最初から、ルールを追加したのは俺が少しでも長く生き残るため」





やめて、それ以上言わないで
それ以上聞きたくない
キヨはそんなことを言う人じゃない





「キヨさん・・・」

「P-P、今までこんな辛い思いさせてごめんな。俺が人狼なのに見つけ出せ、なんて」

「・・・誰も悪くないよ。悪いのはゲームマスターだ」





誰も悪くない
私たち市民側も生き残るのに必死だった
・・・誰かを犠牲にしてでも
それはたった一人の人狼キヨも同じだったんだ





「P-P」

「何？」

「時間をくれないか？」

『・・・えっちょっ！』





キヨは突然体育館の出口に向かって走り出した

私の腕を掴んで





「おいP-P！追いかけなくていいのか！！」

「・・・大丈夫だよ、キヨさんなら」





そんな会話を聞きながら






・





「突然連れ出してごめん」

『・・・大丈夫』





連れてこられたのは屋上

ここで中川と安谷が死んでたことを思い出す






『本当に、本当にキヨが人狼なんだよね』

「・・・・・・ごめん」






誰、何に対しての謝罪なのだろうか
・・・全部、だよね

その言葉で、本当にキヨが人狼だってことを改めて実感させられた
いや、やっと実感した

目から涙が溢れだす





『な、んで…キヨなの…』

「泣くなよA…俺は、Aが死ななくて本当によかったって思ってるんだから」

『私はキヨが人狼で…投票でキヨが殺されるのが嫌なの…！』





私の前からキヨがいなくなってしまうのが怖い



また、5人で一緒に遊ぶって約束したじゃん



・・・叶わないの？





「・・・ごめん、本当にごめん」

『…キヨは悪くないよ』






キヨは私の体をそっと抱きしめた

まるで壊れ物を扱うみたいに

どうしても

この温もりが人狼なんて思えなかった





「A」

『何？』

「・・・愛してる」





驚いてキヨの顔を見ようとするも、強く抱きしめられて叶わなかった






『私も、愛してる。キヨが何であろうと。ずっと』





言葉と共に確かな愛を証明するため

キヨの背中に腕を回して、抱きしめ返す





「あり、がとう」

『それはこっちの台詞だよ』





少しキヨの抱きしめる力が弱くなった

と思うと、唇と唇が触れ合う





本当





キヨが人狼なんて、認めても認めきれない

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