fuji ＊先生 ページ36
「私、先生のこと好きかも」
「……えっ?!!」
「冗談ですよ。」
ベースを手に私は天井を見上げながら彼、軽くいつものような冗談を言う。案の定彼は焦ったように声をうわずらせた。
「先生、私がいつも冗談言うの分かってるでしょう。」
「あ、いや、まあそうなんだけど。Aちゃんはいつもナチュラルに冗談を言うから分かんなくて…」
そう言ってフジ先生は困ったような笑顔で頭をかいた。
「にしても、Aちゃんは勉強熱心だね。成績もいいのにギターとかピアノとかできて、その上ベースが分からないから俺に教えて欲しいなんてさ。」
私の目の前の席に座り笑う彼。
「それがまた毎日懲りないでさ。正直ベースって目立つ楽器じゃないからすぐに飽きると思ってたよ。」
「それはあなたがベースをひいているということで先生が影薄いということになりますよ」
私がそう言うと彼はまた困ったような笑顔で それもそうだなと言った。
「先生は、素敵ですよ。」
「あっ！もう冗談は通じないからな!!」
「これは本気ですよ」
また淡々と告げると先生にへにゃっと笑う。真っ赤になる先生を他所に私は続けた。
「最初は、ベースはいいかなって思ってたんです。でも、この間の文化祭で先生がベース弾いてて、すごく、すごくかっこよかったんです。」
「…」
そう、私は先生みたいになりたかった。
初めて先生を見たときに、私は先生みたいな人になりたいって。
少しでも近づけたらって。
「俺は、Aちゃんが羨ましい。」
「えっ」
いつもより大人びた声で、フジ先生は告げる。そして私からベースを取ると文化祭に弾いた曲を弾き始めた。
ああ、
「すきです、先生」
……無意識だった。
先生は、また冗談なのかと私の顔色を伺ったがすぐに気づいた。
私が、泣いてることに。
分かってる、分かってるよ。
「やだなあ、冗談ですよ。」
と言い終わる前に、遮られた。彼の、唇で。
ただ呆然として、離れていく先生を見つめる。そしてまた私の顔を伺ってから近づいた。触れて、触れて、わからなくなる。彼の匂いが、私を満たしていく。
「すきだよ」
フジ先生が甘く告げる。
「惑わすのはやめてよね。俺だって男なんだ。そうやって赤くなってたら期待するよ」
「惑わしてなんか」
「じゃあ期待してもいい？」
またふわりと笑って私の頭を撫でた。
「…もっかいキスして下さい」
「言われなくても」
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狩人ノ影*(プロフ) - 桜田さん» ありがとうございます！ひらの人気は衰えないですね。嬉しいお言葉もったいない限りです。これからも是非よろしくお願いします(-ω-) (2016年9月7日 20時) (
レス) id: 8bbda9113b (このIDを非表示/違反報告)
桜田(プロフ) - 初めてコメントさせていただきます！ヒラの短編よかったです！キヨの好意が垣間見える感じが素敵でした（；＿；） (2016年9月5日 19時) (レス) id: 20ab6aeafe (このIDを非表示/違反報告)
狩人ノ影*(プロフ) - 龍谷さん» ありがとうございます!!リクエスト承りました(^ω^ )お時間を頂きますが、必ず上げますので気長にお待ちください。 (2015年12月26日 21時) (レス) id: 8bbda9113b (このIDを非表示/違反報告)
狩人ノ影*(プロフ) - おにぎりさん» ありがとうございます!!とても嬉しいお言葉勿体無い限りです。これからもぼちぼち更新致しますのでよろしくお願いします！ (2015年12月26日 21時) (レス) id: 8bbda9113b (このIDを非表示/違反報告)
狩人ノ影*(プロフ) - るななんさん» 解説ありがとうございます!!私の説明より遥かにお上手で、お手間をかけてしまい申し訳ありませんm(__)m読んで下さってありがとうございました！ (2015年12月26日 21時) (レス) id: 8bbda9113b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：狩人ノ影* | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/tomoka0315/
作成日時：2015年4月23日 21時
