hira ＊君と2 ページ34
「色々質問あるけど、とりあえずなんで同じ獄で弁当食べてるの？」
「人を知るためには、履歴書や経歴を人から聞いても、その人のことはちゃんとわかりません。まずは話がしたい。君がどんな人で、どんな考えをしてるのか。あわよくば好きな食べ物や好きなこと。だからこうやって話せる機会を作ろうってね」
「危ないとは、思わないの？」
「思わない。なぜなら既に君は私の弁当をなんも不審に思わず食べているから。それに職業柄、殺されてもいいって仕事してるからね。怖いとも、危ないとも思わない。私殺されたら君も同じ運命だし。」
「最後に」
俺はくちをつぐむ。
淡々と話していた彼女は俺の様子が変わったことに気づいたのか、真剣な顔になった。
「俺は、俺でいられる？」
複雑なのか、簡単なのか。俺の言葉はあまりにも抽象的で、自分ですら自分が求める答えが分からない。
「……君を、私が思う正しい道に戻す。それが私の仕事だ。君が自分を捨てない限り、私は『ヒラ』を守るよ。」
それから数週間、俺の朝食は毎日彼女の温かな弁当だった。毎日違うおかず、いい事があると必ずウインナーがカニになる。疲れている時はほぼ半分が白ご飯、と彼女はわかり易かった。
初めての、人のぬくもり。
俺は彼女に何か返せているだろうか。この温かな感情のお礼をしているだろうか。
「ヒラ。今日は出会って1ヶ月記念だぞ」
「知らないよ。女性は記念日をやたらと気にするって言うけど、本当なんだね」
にへらっと笑う彼女につられ俺も笑った。
「ヒラ」
微笑む彼女。
「空を、見に行かないか」
……分からない。
これだから、俺は嫌いだ。
「ねぇ」
視界いっぱいに広がる、青い空。何年ぶりか覚えてない空気。ふわりと頬を撫でていく風も、眩しすぎる太陽も。
「俺、分かんないよ」
彼女は屋上の冷たい手すりから掌を離し、俺の歪な顔を覗き込むように見つめた。
「世界って、こんな綺麗だったっけ」
「世界は、ヒラが見てきた世界だけじゃないんだ。だから、綺麗なとこもあって、汚いとこもある。それは、世界が成り立つ最低限の条件なんだ。」
俺の頬に伝う雫を見て、Aはふわりと目を細めた。
「ヒラ、君は世界の汚いとこばかり見てた。だからこれからの人生、綺麗な世界で生きてもいいんだよ」
君は、綺麗な世界を見てきたの？
「A」
「好きだよ」
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狩人ノ影*(プロフ) - 桜田さん» ありがとうございます！ひらの人気は衰えないですね。嬉しいお言葉もったいない限りです。これからも是非よろしくお願いします(-ω-) (2016年9月7日 20時) (
レス) id: 8bbda9113b (このIDを非表示/違反報告)
桜田(プロフ) - 初めてコメントさせていただきます！ヒラの短編よかったです！キヨの好意が垣間見える感じが素敵でした（；＿；） (2016年9月5日 19時) (レス) id: 20ab6aeafe (このIDを非表示/違反報告)
狩人ノ影*(プロフ) - 龍谷さん» ありがとうございます!!リクエスト承りました(^ω^ )お時間を頂きますが、必ず上げますので気長にお待ちください。 (2015年12月26日 21時) (レス) id: 8bbda9113b (このIDを非表示/違反報告)
狩人ノ影*(プロフ) - おにぎりさん» ありがとうございます!!とても嬉しいお言葉勿体無い限りです。これからもぼちぼち更新致しますのでよろしくお願いします！ (2015年12月26日 21時) (レス) id: 8bbda9113b (このIDを非表示/違反報告)
狩人ノ影*(プロフ) - るななんさん» 解説ありがとうございます!!私の説明より遥かにお上手で、お手間をかけてしまい申し訳ありませんm(__)m読んで下さってありがとうございました！ (2015年12月26日 21時) (レス) id: 8bbda9113b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：狩人ノ影* | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/tomoka0315/
作成日時：2015年4月23日 21時
