kiyo *迎え Another Story ページ30
「俺とお前は一生しんゆーだから!」
小さい頃、ただただ君を励ましたくて笑顔にしたくて発言したことが今更になって後悔する。
だって現に俺はAを親友と思っていないから。嘘をついている自分に、この気持ちに気づかないくせにそんな笑顔で俺に話しかける彼女に腹が立つ。
今日も、彼女の夢を見た。
「…ふざけんなよ」
俺が決めたことだろ。
目が覚めて、ベットの上で力なく座り込む。今更どうする事もできないのに、悔しくて涙がこぼれ落ちた。
…高校に進学して、Aと同じクラスになった。嬉しくて、これからまた一緒に居られることに胸が熱くなるほど喜んだ。
ヒラとフジ、こーすけと一緒にゲームしまくって毎日が楽しくてたまらなかった。
それなのに。
みんなで遠出しようと飛行機に乗って沖縄へ行くとき、眠ったAにタオルケットを掛けるヒラを見た。
初めて見た、あんな顔。
目を覚ましてタオルケットを確認したAが隣の席の眠ったヒラに、ヒラがかけてくれたタオルケットをかけていた。
ずっと一緒にいたはずなのに初めて見た、あんな顔。
そこで気付いた。
俺は遅すぎたんだってこと。
ヒラはいいやつだ。
いざと言う時には、彼女を身を呈して守るだろう頼れる人物だ。
だから、俺はこの結末を望んだ。
涙が止まってきた頃、LINE電話がかかった。LINE名はAだ。
「もしもし」
『あれ、起きてたんだ。一昨日は誘ってくれてありがとう。久しぶりにお酒飲んだよ』
「今更何いってんだよ」
笑いながら彼女を茶化す。いつものことだ。
『いや、違う意味でも誘ってくれてありがとうなんだけど…』
「あー?なんだよ」
『なんでもない!!ありがと!!』
「わけわかんねーw」
分かってる。
きっと、結ばれた。
「……まだ寝たりねーんだ。切るぞ」
『はあ?あんた、もう昼の12時よ?』
「うっせ」
涙が、出そうなんだ。
『あ、あと』
ふわりと、照れ笑いを浮かべているであろう彼女がスマホの奥でへへっと笑う。
『キヨが親友で、ほんと良かった。』
「…おー俺も、Aが親友で本当に良かったわ」
君を好きで良かった。
電話を切ると、案の定涙が出た。彼女は多分分かってる。俺が、ヒラをわざと迎えに行かせたこと。
でも、俺の気持ちは知らない。
「…くそっ、なんで…なんで俺じゃねーんだよ」
…君を好きにならなきゃ良かった。
俺の本音はどこなんだ。
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狩人ノ影*(プロフ) - 桜田さん» ありがとうございます!ひらの人気は衰えないですね。嬉しいお言葉もったいない限りです。これからも是非よろしくお願いします(-ω-) (2016年9月7日 20時) (レス) id: 8bbda9113b (このIDを非表示/違反報告)
桜田(プロフ) - 初めてコメントさせていただきます!ヒラの短編よかったです!キヨの好意が垣間見える感じが素敵でした(;_;) (2016年9月5日 19時) (レス) id: 20ab6aeafe (このIDを非表示/違反報告)
狩人ノ影*(プロフ) - 龍谷さん» ありがとうございます!!リクエスト承りました(^ω^ )お時間を頂きますが、必ず上げますので気長にお待ちください。 (2015年12月26日 21時) (レス) id: 8bbda9113b (このIDを非表示/違反報告)
狩人ノ影*(プロフ) - おにぎりさん» ありがとうございます!!とても嬉しいお言葉勿体無い限りです。これからもぼちぼち更新致しますのでよろしくお願いします! (2015年12月26日 21時) (レス) id: 8bbda9113b (このIDを非表示/違反報告)
狩人ノ影*(プロフ) - るななんさん» 解説ありがとうございます!!私の説明より遥かにお上手で、お手間をかけてしまい申し訳ありませんm(__)m読んで下さってありがとうございました! (2015年12月26日 21時) (レス) id: 8bbda9113b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:狩人ノ影* | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/tomoka0315/
作成日時:2015年4月23日 21時