【実況者】恋に落ちる１秒前【短編集】

p-p ＊ドライブ ページ21

寒いなんて君が言うから僕も釣られて寒いねなんて言ってしまう。基本暑がりの僕はまだ寒いなんて感じていないのに、彼女の言葉に賛同してしまうのだ。



マフラーを取り出しながら彼女はコートを羽織る。僕も白いパーカーを羽織った。



「じゃ、行きますか」
威勢のいい彼女の声に任せて立ち上がる。毎年恒例の、長距離ドライブは結婚して3年経った今でも変わらない。コンビニで仕入れたお菓子と、2人で作ったおにぎりと軽いおかずをバックに入れて、車に乗り込む。



外はまだ暗がりが広がっていて電灯がチカチカと僕らを照らす。




「スマホよし、財布よし、シートベルトよし。れっつごー！」

「おー！」



エンジンをいれ、車を動かす。
彼女はさっそく仕入れた温かいコーヒーを啜った。僕は運転しながら彼女のその可愛らしい行動ににやける。バレないようにハンドルをわざと強く握った。いやあ、可愛い。



「ぴーちゃん。」
「んー？」
「運転、疲れたら代わるね」
「んー、ありがと。大丈夫だよ」




できるだけ、かっこいいところを見せたいのはきっと全ての男性がそうだろう。

「……ぴーちゃん。」
「んー？」
「いつもありがとう」




たまに、反応に困る。




「僕は優しい奥さんを持ったなあ」
「へへ、私も優しい旦那さんを持ったなあ」



……ああ、またバレた。
僕が君にかっこつけたくて強がったのが。


「ぴーちゃん。」
「んー？」
「海、いきたいな」
「……たまには、いいかもね」




行こう。
君とならどこへでも行ける。



(-ω-)恋人と暗い道を静かにドライブするのが夢です(白目)

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