hira *迎え ページ18
ヒラ。彼の愛称は、その二文字。私はその二文字にいつも反応してしまう。実況友達兼、幼馴染みのキヨが信頼してる友人の1人だ。私は、実を言うと彼に好意があったりする。
可愛い、と言われがちな彼だが本当はすごく頼れる優しい男性。そして私はキヨと幼馴染みということで、お陰様なのか結構有名な実況者になったわけだ。
「……で、暇人のあなたが一体多忙の私に何の用?」
『まあ、そう言うなよ。俺も多忙だっての』
スマホの奥から聞こえるうるさい幼馴染みの声がオフィスにも響いたのか、何人かがこちらを向いてクスリと笑う。
「何の用?」
『いやさ、今日みんなで飲みに行くんだけどAもいいよな』
いつものとこで!と調子に乗りながら電話を切った。いいなんて言ってないぞ。
数時間していつもの定時にオフィスを出る。外はもう真っ暗だった。私は仕方なく、キヨと待ち合わせしたコンビニの前に佇む。
「ごめん、お待たせ」
だけど、そこに現れたのは高身長のデカボイスではなく目を細めて笑う私の想い人だった。
「えっ?!ヒラくん?!」
「いやーキヨったら迎えに行くって言ってたのに先にお酒飲んじゃってさー代わりに俺になったの。」
ごめんね、ともう一度ヒラくんが私に謝る。私は首を横に振り、「悪いのはキヨだよ」と笑った。
「にしても、お仕事終わりにごめんね?疲れてるでしょ?」
「ううん、平気。明日はお休みだし」
そっかー、と片手で運転しながら彼はケラケラと笑う。そういえばこんなふうに彼と二人っきりになったのは初めてかもしれない。そう思うと不意に私の心臓が高鳴った。
「ヒラくん、今日謝ってばっかだね。」
気持ちを落ち着かせるため、私は会話を続ける。
「えっ?そう?……あー緊張してるのかなあ。こうやってAちゃんと二人っきりになったことないからさ」
ああ、もう。
彼は何で恥ずかしげもなくそんなことが言えるのだろうか。私は恥ずかしくなって俯いた。それに気づいたのかヒラくんは無言で運転する。
「……どうせなら、このまま2人でいる?」
心臓が大きく跳ね上がる。
「……期待しても、いいんですか?」
私が恐る恐る口を開くと、彼は微笑んで私の冷たくなった掌を握った。
「期待してよ」
車は、駐車場に止まる。
私達が甘い口づけに溺れたのは2人だけの秘密。
「キヨ」
「んー?」
「いいの、これで」
「……いいんだよ。これが一番いい。」
お酒に映るその歪な笑顔と涙は、
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狩人ノ影*(プロフ) - 桜田さん» ありがとうございます!ひらの人気は衰えないですね。嬉しいお言葉もったいない限りです。これからも是非よろしくお願いします(-ω-) (2016年9月7日 20時) (レス) id: 8bbda9113b (このIDを非表示/違反報告)
桜田(プロフ) - 初めてコメントさせていただきます!ヒラの短編よかったです!キヨの好意が垣間見える感じが素敵でした(;_;) (2016年9月5日 19時) (レス) id: 20ab6aeafe (このIDを非表示/違反報告)
狩人ノ影*(プロフ) - 龍谷さん» ありがとうございます!!リクエスト承りました(^ω^ )お時間を頂きますが、必ず上げますので気長にお待ちください。 (2015年12月26日 21時) (レス) id: 8bbda9113b (このIDを非表示/違反報告)
狩人ノ影*(プロフ) - おにぎりさん» ありがとうございます!!とても嬉しいお言葉勿体無い限りです。これからもぼちぼち更新致しますのでよろしくお願いします! (2015年12月26日 21時) (レス) id: 8bbda9113b (このIDを非表示/違反報告)
狩人ノ影*(プロフ) - るななんさん» 解説ありがとうございます!!私の説明より遥かにお上手で、お手間をかけてしまい申し訳ありませんm(__)m読んで下さってありがとうございました! (2015年12月26日 21時) (レス) id: 8bbda9113b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:狩人ノ影* | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/tomoka0315/
作成日時:2015年4月23日 21時