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heiwa *なくして two ページ11

「……キヨくん、起きてーな」

俺は彼の細い体を揺さぶる。昨日の報告のせいか、疲れきった体をただソファーに埋めているように見える。玄関の鍵が空いていた限り、そのまま眠ってしまったんだろう。



「……ん、もうそんな時間?」
「せやで。早く準備してや、車に乗せてやるから」


だけど彼は起きる気配さえ見えない。くるりと向きを変え天井を見上げる体勢になったキヨくんは自分の腕を顔に被せた。



「しっかし、よう寝れたな。昨日なんか俺P-Pとつわはすくんの電話が何回も鳴って寝られんかったで」

「……だから、寝たんだよ」


ぽつり、と呟く彼。
それは言わないでも分かってた。俺だってみんなとは長い付き合いだ、昨日の夜どんな風に過ごしていたかなんてあらかた想像はつく。キヨくんは、夢だと思いたかったんだ。


「…俺、悲しいとか苦しいとかの前に最初「殺してやる」って思ったんだ。Aを事故に遭わせたやつら全員に殺意持ったんだよ」


「仕方ないやろ、大規模な事故やったんやから。他にも色んな人が亡くなった…Aの遺体が綺麗に見つかっただけ幸せや…」


「そういう問題じゃねぇだろ!!」



大声が響く。キヨくんは鋭い目で俺を睨んだ。ふいに起き上がったキヨくんの目から綺麗な雫がボロボロとこぼれ落ちる。俺は黙って、その場に立ち尽くした。



「俺、なんもしてやれなかった…」


後悔、苦しみ、殺意が彼を潰そうとしている。はじめ、Aのお母さんから電話があったときなんで最後まで彼女のそばにいなかったんだろうと思った。キヨくんに電話した時も、声は震えたと思う。



「……キヨくん、今日はAとお別れせんといかんのやで。最後くらいいつものキヨくんでいてやれや」

キヨくんの涙がひたすら自分の瞳に映る。俺だって何かをしてあげたなんて思ってない。


「レトさんは、大人だよ」


「キヨくん」



俺だって、死ぬほど



「俺、昨日の夜泣きすぎて眠れなかったんや。」

abu *朝→←heiwa *なくして one



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狩人ノ影*(プロフ) - 桜田さん» ありがとうございます!ひらの人気は衰えないですね。嬉しいお言葉もったいない限りです。これからも是非よろしくお願いします(-ω-) (2016年9月7日 20時) (レス) id: 8bbda9113b (このIDを非表示/違反報告)
桜田(プロフ) - 初めてコメントさせていただきます!ヒラの短編よかったです!キヨの好意が垣間見える感じが素敵でした(;_;) (2016年9月5日 19時) (レス) id: 20ab6aeafe (このIDを非表示/違反報告)
狩人ノ影*(プロフ) - 龍谷さん» ありがとうございます!!リクエスト承りました(^ω^ )お時間を頂きますが、必ず上げますので気長にお待ちください。 (2015年12月26日 21時) (レス) id: 8bbda9113b (このIDを非表示/違反報告)
狩人ノ影*(プロフ) - おにぎりさん» ありがとうございます!!とても嬉しいお言葉勿体無い限りです。これからもぼちぼち更新致しますのでよろしくお願いします! (2015年12月26日 21時) (レス) id: 8bbda9113b (このIDを非表示/違反報告)
狩人ノ影*(プロフ) - るななんさん» 解説ありがとうございます!!私の説明より遥かにお上手で、お手間をかけてしまい申し訳ありませんm(__)m読んで下さってありがとうございました! (2015年12月26日 21時) (レス) id: 8bbda9113b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:狩人ノ影* | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/tomoka0315/  
作成日時:2015年4月23日 21時

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