鵬翼 ページ4
『鵬翼』
思いがけず 見た窓の外には
心なしか霧がかかっていた
淡い花曇りの中 思いは自ずと馳せていく
君のかけがえのない声が 僕をこの場へ引き戻した
夢物語みたいな君
儚くて今にも消えそうで
触れたら壊れてしまう
触れたら壊してしまう
それならば 僕は 僕は……
瞳を閉じた
君の声が 雨の音がただ ただ響いて
雫で溺れてしまわぬように
大切な存在を 失わぬように
僕は君に蓋をした
思いがけず 見た窓の中には
心なしか靄がかかっていた
暗い薄曇りの中 思いは何処へ馳せていく
君のかけがえのない声は 僕に届かず消えていった
歌物語を手向けよう
儚くて今にも泣きそうで
言ったら壊れてしまう
言ったら壊してしまう
心を閉じた
君の声は 雨の音がただ ただ掻き消し
雫が溢れてしまわぬように
張り裂けそうな胸を 慰めるように
僕は天を仰ぎ見た
冷たく 降り注ぐ思いの丈が そっと
君に寄り添うように 鷹揚に
忘れられたら 軽くなるだろうけれど
今も 君は 僕の胸の中に ずっと
瞳を閉じた
君の声が 雨の音にただ ただ響いて
雫が渇いてしまわぬように
大切な存在の 跡を慈しむように
僕は天を仰ぎ見た
君の幸福を願って
─────
鵬翼。「君」は何処へ飛んでいったのでしょうか。
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:流離いのsecret | 作者ホームページ:なし
作成日時:2021年7月19日 20時