002 ym ページ2
.
『メンバーとしての距離？』
「だって伊野尾ちゃんって絶対俺のこと嫌いだもん」
『…そんなことはないけど、別にそんな強くも言えない自分がいる』
正直な答えに思わず笑うと、『山田といのちゃんが二人で何かしてるのってあんまり見たことなくてさ』と少しバツの悪そうな顔をした。
「いーのいーの。それが今の関係性よ。今日も収録終わってからは目すら合わなかったしね」
『…でもほら、ユニット。あれで少しは距離縮まったんじゃないの？』
「うーん、どうだろ。あれさ、ファンの子からしたら伊野尾ちゃんは俺とやるのをずっと楽しみにしてて、俺はそうでもないって映ってるのかな。…実際は逆なのに」
.
俺の言葉に大ちゃんはしばらく考える素振りを見せてから『なんか、…きっかけがどこかに落ちてると良いな』と呟いた。
「きっかけ？」
『そ。距離が縮まるきっかけ。次にいのちゃんに会うのはー、明後日のMV撮影か。まずはそこで隣キープすることから始めてみる？』
「…無理！無理無理！キープは無理だって！」
『じゃあせめて近くに行こうよ。俺も出来るだけそばにいるようにするから、』
『何かあったらサポートしたげる』とやけに協力的な大ちゃんに、「無理だって…」と力なく呟くも、既に乗り気な彼にこの声は届かなかったみたいだ。
.
.
宴もたけなわ。大ちゃんがお手洗いに行っている間に、俺は帰り支度を済ませ、お会計をしに向かう。
廊下は静かで、店員さんにも他のお客さんにもすれ違わないままレジへと向かい、「お勘定お願いします〜」と裏に向かって声をかけた。
裏から出てきた店員さんは初めて見る人で、この店の雰囲気にはそぐわない銀髪に黒縁眼鏡の男の人だった。
お会計を終えて、店の端の方でスマホを触りながら大ちゃんのことを待っていると、さっきの店員さんに『あの』と話しかけられて顔を上げる。
彼がポケットから取り出したのは、_____飴玉？
「はい、？」
『こちら、宜しければ。お召し上がりになるのは今では無い方が良いかとは思いますが』
「…え、どういうことですか…ってちょ、」
強引に俺の手の中に握らせた店員さんは、返す隙を与えないかのように裏へと引っ込んだ。
そのタイミングで大ちゃんが『お待たせー！』とやってきて、手の上の飴を見て『どしたの、それ』と聞かれる。
「や、なんか…貰った」と、俺はしょうがなくコートのポケットに突っ込んだ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 424人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Hey!Say!JUMP」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
めい(プロフ) - 梓実さん» 梓実さん初めまして。コメント有難うございます！ええ、泣いちゃったところ！どこでしょう！ 何考えているのか読めないミステリアスな雰囲気を出せたらなと思っていたので、その感想はとっても嬉しいです！ お読み頂き有難うございました！ (2020年10月20日 12時) (
レス) id: 8807fc94fe (このIDを非表示/違反報告)
めい(プロフ) - Kさん» Kさん、こちらこそコメント有難うございました！同担です〜よろしくお願いします！笑 お話の感想も有難うございます！ (2020年10月20日 12時) (レス) id: 8807fc94fe (このIDを非表示/違反報告)
めい(プロフ) - みつこさん» みつこさん初めまして。コメント有難うございます！とってもうれしい感想です〜泣 こちらこそ最後までお読みいただき有難うございました！ (2020年10月20日 12時) (レス) id: 8807fc94fe (このIDを非表示/違反報告)
梓実(プロフ) - とっても面白い作品でした！！思わず泣いてしまうところがあって…あんなに泣いたのは久しぶりです笑一瞬伊野ちゃんが怖かったのですが、なんだか安心しました笑笑 今からもう一度読み直してこようと思います！素敵な作品を、ありがとうございました！！ (2020年10月19日 21時) (レス) id: 56b32f15d6 (このIDを非表示/違反報告)
K - お返事頂けるなんて嬉しいです！正直同担なのが嬉しくて勢いで送ってしまっていたので笑お話とても面白かったです！ありがとうございました！！ (2020年10月17日 19時) (レス) id: 30c662d0e5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：めい | 作成日時：2020年10月4日 19時
