第188話 静かなお説教 ページ6
チャキッ、とか弱そうな手が素早く三叉槍を組み立てる。
まったくもう、クロームちゃんも気が早いんだから。
そんなにミドゥーザと白蘭を警戒しなくてもだいじょ
「…………ユキさん、そこに正座して。あと骸さんも」
「『エッ』」
◇◇◇
クロームside
光に包まれ未来から戻った先は、骸さんと犬とはぐれてしまった黒曜ランドだった。
あたりはしん、と鎮まっていて、外の風音や木の葉の音がかすかに聞こえるくらい。
「……ぅっ」
ハルちゃんやボスたちの前ではユキさんを失った悲嘆に暮れる本心を隠していた。
けれど……平和な時代に戻って一人きりになって…。
ぽろりと涙がこぼれ落ちる。
「雪那たちに……なんて、説明したら……っ」
晴れ渡る空を見上げることもできず地面を見ながら無心で歩いていると、家に着いてしまった。
ふと違和感を感じ、あたりを観察すると、ここら一体にかけられていたユキさんの幻術が完全に解けていた。
「……ユキさんは、本当に……消えちゃった、んだ…」
自分でもわかる。
今の私は暗くて酷い顔をしてるって。
重い腕を上げて玄関の扉を開け、四人がいるだろうリビングに足を踏み入れる。
「……ただいま…」
「アッ、クロームのこと忘れてました」
顔を伏せたまま挨拶をすると、兄弟子のとんでもない台詞が聞こえた。
忘れてた、って何？
のろのろと顔を上げて骸さんを睨みつ……
「！！？？」
骸さんの正面ではユキさんがアイスを頬張っていて、よく取り合いになるふかふかソファにはミドゥーザと白蘭が腰かけて楽しそうにお喋りをしている。
その二人に犬と雪那が唸って、窓辺にいる千種と未来で会った時よりも幼い真美がリビングを眺めて呆れている。
『どうふたのー？ おかえり、クロームちゃん』
どうしたの……？
私や、ハルちゃんや……みんながどれだけ悲しんだか……っ。
「…………ユキさん、そこに正座して。あと骸さんも」
「『エッ』」
「早く」
「『アッ、ハイ』」
素早く組み立てた三叉槍の柄で床を突いて威圧すると、シュバッと私の前に二人が正座して並ぶ。
「みんながどれだけユキさんが死んでしまったことを嘆き悲しんだと思う？ ユキさんにはユキさんの考えや信念があっての行動だったとは思う。でも、あんな結末は誰も望んでない。この時代に戻れても、ユキさんがいないんじゃ……そんなの、命がけで戦った意味がない」
ユキさんに褒めてもらいたい一心で戦っていたのに…。
第189話 黒ーム降臨→←第187話 めんどいことになる予感
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 64人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「リボーン」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
霽月(プロフ) - 緋雨さん» ありがとうございます!! お陰様でなんとか完結させることができました。いつもコメントありがとうございます。たまに番外編ものぞいてやってくださいね。これからも精進します!! (2019年8月30日 21時) (
レス) id: a6fc521fe8 (このIDを非表示/違反報告)
緋雨 - ハル姉 完結おめでとうございます！！ ユキちゃんとスクアーロの結婚式 読んでてとても面白かったです！！ 今までとても素敵なこの作品を書いてくれてありがとうございます！ お疲れ様でした！ (2019年8月30日 20時) (レス) id: abe5765737 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：霽月 | 作成日時：2019年6月17日 23時
