第103話 カミングアウト ページ12
ハッとした黒兎は咄嗟にクナイがかすめた腕と脚をドラゴンの黒い鱗のようなもので覆う。
が、遅い！！
ピキキキッ！！！
「さっきよりも凍っていくのが速い！！」
「チィッ！！」
鱗が肌を守るより速くクナイは凍りつく。
さぁ、いこうか。
お梅ちゃんに雷の炎と雪の炎を流しつつ黒兎に肉薄し、先ほどのクナイを弾かざるを得なかったことによりそのほとんどが凍った槍を、
『はァッ！！』
「ぐッ！！」
パキィ……ンッ！！
真っ二つに叩き斬る。
「ここだ、ネッ！」
「ガッ……！！」
間髪入れず、凶刃を仕舞い込んだ血翔が黒兎の鳩尾を強く突く。
大きく後退した黒兎を見て、ミドゥーザが息をつく。
「ふぅ。いつまで膠着状態が続くのかと思ったヨ」
『……ただの勘だけど、黒兎にはまだ何かある気がしてならない。気は抜かないように』
「？ ハーイ」
日暮れまであとほんの数時間。
しかし相手はボンゴレファミリーが初代の頃からある敵対組織ネヴェリータ・ディティーマファミリーのボス……こんな簡単に済む筈がない。
【あー、ユキ？ あのよぉ……黒兎はな…………オレの双子の弟なんだ！！！！！】
…………はっ？
『ミニアルジェ、ちょっと私の頬をガブッてして』
「えっ？ ユキ様？」
いった！ つまりは幻聴ではないと！
突然すぎるカミングアウトやめてよ雪兎！！！ そーゆーのはもっと早く言え！！！
このダメウサギ！！
【うっ……わりぃ。このことに関しては反論できねェ…】
『ミドゥーザ、雪のボンゴレリングには初代雪の守護者・雪兎の亡霊が宿ってるんだけど…』
「ハァッ！？」
『今こいつが言うには、黒兎はこのダメウサギの双子の弟らしいよ』
「ハァアア！！？」
うわ、目玉が飛び出そうな顔してる。
てゆーか、なんでその双子の弟がボンゴレと敵対してたわけ？
【……オレたちは最初の雪の者でな、雪のアルコバレーノに選ばれたのはオレだった。オレは転生者だったから前世の記憶を生かして家庭教師をやっていてな……その生徒がD・スペードで、その関係でボンゴレと関わりを持ったんだ】
まじかよ。
【双子とはいえ、兄貴が楽しそうに生活しているのが黒兎は気に入らなかったんだろうな……ひっじょーに言いにくいんだが、つまり…】
ちょっと……まさか、それって…
【あいつは一生をかけてオレに反抗してるんだ！！！！！】
はた迷惑にも程がある反抗期とかふざけんなッッ！！！！！
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 19人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：霽月 | 作成日時：2019年5月9日 21時
