第55話 浅からぬ因縁 ページ10
未来ミドゥーザの置いていった匣を過去ミドゥーザ……坊主に渡す。
「あっ、そうだ！ よくわかんないんだけど、コレ、じっちゃんから…」
『ゲッ、お梅ちゃん……！』
カタカタと揺れるお梅ちゃんは、どうやら不満一杯らしい。
嘘ウソ、よろしく頼むよ。
「……過去のミドゥーザ、か。未来の道理も知らぬ者に力をふるうのは本意ではないが、これもまた試練。新世界を創造するまで暫しの忍耐だ、許せよミドゥーザ。」
「ん？」
混乱しきりだった坊主はここでやっと黒兎の存在に気づいたようなんだけど、
「！！！」
嫌な予感がビンビンするんだが。
【おまえは少し苦労した方がいいぜ】
なんだと！
「その顔……！ アンタ、ネヴェリータの……！」
「？ 10年前の貴様とは面識が無い筈だが。」
「ふざけるな、ヨ！」
眦を吊り上げ、肩を怒らせ、坊主は棍棒片手に黒兎に突っ込んだ。
興味ないけど、浅からぬ因縁があるらしい。
キイィン！！！
黒兎の得物は槍か……対する坊主は
【うーん、ユキと相性が悪いな。槍にはリーチがあって中々懐に入りにくい】
「"雪の者"の氷の目には寿命がある……アンタのその氷の目は……！ 僕の兄さんを殺して手に入れた物だろ！！」
「我は太古より存在せし者。故に、逐一この目の元の持ち主を記憶などしていない。」
「っ、この……！」
怒りは視野を狭くする。
今の坊主は黒兎しか見えていない……まったく、世話のかかる。
白く美しい鞘からお梅ちゃんを抜き、せめぎ合う二人の間に入り込む。
カァンッ！！
槍と血翔を跳ね上げ、坊主の襟首を掴んで後退。
リン、と涼やかな音が柄についた鈴から鳴る。
『キミ、このままじゃ簡単に死ぬよ。』
ちょっと頭を冷やしなさいな。
それにこれはキミだけの戦いじゃないんだ。
『開匣！！
「来るか、三浦ユキ。」
『偉そうにすんな。すぐに吠え面かかせてやるよ。』
グルルルル……不機嫌そうに毛を逆立てて黒兎に唸るアルジェの首元を撫でて落ち着かせてやる。
そう焦るなって、すぐにガブガブさせてあげるから。
【ガブガブってなんだよ！？ 怖いんだけど！】
「なっ……ハコから狼が……！？」
『未来の戦い方を教える時間もない。私が実戦して見せるから、見て覚えてね。』
第56話 鍔迫り合い→←第54話 未来と過去からのおくりもの
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霽月(プロフ) - ゆきなさん» コメントありがとうございます。さ、最初から…もはや最初の頃のは書き直したいレベルでお恥ずかしい限りです。最後まで面白いものを書けるよう、頑張ります！ (2019年3月11日 19時) (
レス) id: b6246d6e58 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきな(プロフ) - こんな遅くにすみません！２日かけて最初からユニちゃんと未来で再会！って感じの所まで読みました！面白かったです！これからも無理せずに頑張ってください！ (2019年3月7日 1時) (レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：霽月 | 作成日時：2018年4月17日 22時
