第57話 4人目 ページ12
「修羅開匣！！」
匣から溢れ出る銀色の炎が消えて現れたのは――……
『……仕方ないからもう一回だけ待っててあげるよ。』
「……うん、肝心な時に失敗しちゃうことってあるよネ。」
「ちがうッ！！！ 失敗ではない！ これが正しい修羅開匣なのだッ！！」
生あたたか〜い目で励ましてやったのに。
だって黒兎の容姿は何も変化してないんだよ？ 失敗しちゃったんだって思うじゃん？
「幹部たちは“疑似”の修羅開匣だが、私の匣は“氷の目”を埋め込んだ完璧な匣だ。ヒトがヒトの姿を保ったまま最強であるがままと同様に、我のこの変わらない姿こそが最終形態である証だ。」
ちょっと何を言っているのかわからないですね。
【激しく同意】
「ふっ……人に理解されずとも致し方なし…」
その時、視界の端でキラリと何かが光った。
「！」
光るそれは大振りな剣で、私は咄嗟にお梅ちゃんではじこうとしたのだけど、
『ぐっ……！？』
《ユキさんの様子が…》
《母さん…？》
その場に縫い付けられたかのように体を動かせない。
そこへ割って入るは今の今まで私の後ろでくすぶっていたミドゥーザ。
キィインッ！！！
見事な体捌きで剣をはじき返して見せた。
【やるなぁ！】
「来たか、パンファ。」
「ほう？ 10年前の小僧とは言え、これは中々期待できそうだ。」
「……ちょっとオネーサン？ 聞いてた話と違うんだけど。これじゃ三つ巴じゃないよネ？」
うーん…
『チェルちゃーん！ 説明プリーズ！』
「こちらのパンファ氏は黒兎様の部下であり、ネヴェリータ・ディティーマファミリーの雷の幹部です。パンファ氏も皆様と同様に“雪の者”であらせられますので、チョイスに参加されることが可能となっております。」
最初に言えよ！！ このパン野郎！！
【口が悪いぞユキ〜……というか、まだ体は動かないのか？】
そう！ むかつく！
『ちょっと、ここはノントゥリニセッテがないんじゃなかったのかな？』
「大いなる善の為には致し方なし。許せ。」
『許さんッ！！！』
《冗談でしょ……ノントゥリニセッテって……》
《この状況でとんでもないもの持ち出してきやがったなぁ"……カスどもが》
はぁあ〜……アルジェに装置を壊してもらうしかないか。
視線だけで私の意思をくみ取ってくれた相棒には脱帽だよ。
「戦い方はなんとなーくだけどわかったかな。任せてヨ、オネーサン♪」
不敵に笑うミドゥーザはギラリと瞳を光らせた。
第58話 時間稼ぎしたいらしいけど、→←第56話 鍔迫り合い
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霽月(プロフ) - ゆきなさん» コメントありがとうございます。さ、最初から…もはや最初の頃のは書き直したいレベルでお恥ずかしい限りです。最後まで面白いものを書けるよう、頑張ります！ (2019年3月11日 19時) (
レス) id: b6246d6e58 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきな(プロフ) - こんな遅くにすみません！２日かけて最初からユニちゃんと未来で再会！って感じの所まで読みました！面白かったです！これからも無理せずに頑張ってください！ (2019年3月7日 1時) (レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：霽月 | 作成日時：2018年4月17日 22時
