【REBORN】最弱幹部は息を潜める 2nd Bullet (ページ19)

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目的43:嫌厭する術士の話ページ19

悪夢の生き証人になる権利は言い出しっぺのフランが勝ち取り、私たちはミルフィオーレの古城へと森を縫って向かっていた。

「まさかアホのロン毛隊長や堕王子があそこまで粘るとは思いませんでしたー。
てっきりみんな見たことあるのかとー」

私は'悪夢"を起こすときに誰かを帯同するということはなかったので、今回の件でフランが初めての悪夢の生き証人ということとなる。

「まぁ誰も見てないからこそ悪夢って呼ばれてるわけだからね」

正直あそこまでみんながみんな食いつくとは思っていなかった。
予想以上に興味を持たれていたらしい。

「師匠からもネーサンの話聞いてて見てみたいとはずっと思ってたんですよねー」

そこで前から疑問に思ってたことを聞いてみた。

「……前から思ってたんだけど何で私だけネーサン呼びなの？
みんなひっどいあだ名付けてるのに」

よく生きてるな、とも思う。
それだけ彼も実力があるということだけど。

「あれー、言ってませんでしたっけー？
そのミーの師匠がネーサンと犬猿の仲でしてー、
尊敬の意を込めてネーサンって呼んでますー」

尊敬の意は全く感じないがまぁそれはいいとして。
フランの師匠って間違いなく術士だと思うんだけど、
そんな人と犬猿の仲でよく生きてるなこの時代の私。
たとえ幻覚汚染を克服してたとしてもとんでもないと思う。

「……今の私に犬猿の仲の術士なんていないんだけど」

敵方にいて標的なら最初に手にかける対象なのでその線はない。
今の私の知らない10年間に会った味方陣営の術士になる。

「じゃあ会うのは少し先なんですかねー
そのミーの師匠は六道骸ことパイナッポーですー」

予想以上にとんでもないやつと犬猿の仲だった。
よく死んでないなすごいこの時代の私。

「……あの六道骸？」
「あんなナッポー2つとないのでそうかとー」

骸が幻覚でおちょくって私がキレるというのがよくあるパターンだったらしい。
今の私にあのレベルの術士がやると確実に致命傷になるんだけど。

「……しばらく会わずに済むといいなぁ」

10年前では霧の守護者ではあるものの、本人は復讐者の牢獄にいるのでクローム髑髏を通して出てくるらしいけど。

緊張感のない会話を続けていると目的地が見えて来る。
それと同時にこちらを狙ういくつかの人の気配がする。

「任せていい？」「いってらっしゃーい」

その声と共に開匣し、クロの群れに紛れ敵を撒く。

最初の狙いは指揮官の首。
雲の幹部として私にできることを。