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「その呼び方…やめてください。不快です」
「えー、間違ってねェじゃん。つーか傘入れて。万事屋までで良いからよォ」
「は？」
返事をする前に坂田さんが私の傘に入っていた。
万事屋までで「いい」って、そこがゴールじゃん。殴り飛ばしたい。
1人用の狭い傘の中で坂田さんは悪びれた様子もなく、私の手から傘を奪い取って「お前の身長に合わせると頭がつっかえるんだわ」と言った。
坂田さんが傘を持つと、途端に視界が広くなって色々なものが見えるような気がした。
けれど、当の坂田さんは本当に何も考えていないかのような、とぼけた顔をしている。
「あの」
「んー？」
「なんで傘持ってなかったんですか？」
今日の降水確率は90%だった。
だから、私だって絶対に雨が降るのだと思って傘を持って出たぐらいだ。
天気予報を見なくたって、朝から空は曇っていた。
「あー、特に意味とかねェけど。邪魔だったし」
「それで帰宅難民になるってどうなんですか」
「10%の確率で晴れじゃん。まぁまぁ確率高くね？」
「負けてますよ、その賭け」
「負けたらお前と遭遇できたな。ラッキーだったわ」
雑談のように紡がれた言葉だった。
何でもないように、意味なんてないように、そんなことを言うものだから危うく取りこぼしてしまいそうだった。けど、聞かなかったことには出来なくて心の中で反芻した。それこそ、顔だけは何でもないことのように。
「装ってるつもりなんだろーけど、お前ってなり損ないビッチちゃんだよな」
「はぁ？」
「顔赤……そらもうチョロいわけだよ」
「赤くないですけど！誰かさんが横入りしたせいで濡れて寒いだけですけど！」
ここでぐらついたら、それこそ本当にビッチちゃんの仲間入りだ。
距離をとってわざとらしく腕をさすっていたら、坂田さんが肩を抱き寄せた。
「本当に濡れんだろ、馬鹿かお前」
そう言って、坂田さんは黙った。
触れられた肩が熱い。坂田さんがこんなに熱かったか、この前の記憶を辿っても全然思い出せなかった。心の中に、この人はいなかったから。
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月ヶ瀬ましろ(プロフ) - 詩織さん» コメントありがとうございます！内容によってはお待ちして頂く事になりますが受け付けておりますよ(^-^)/ (2017年7月12日 21時) (
レス) id: b30e496864 (このIDを非表示/違反報告)
詩織 - リクエストって、今も受け付けてますか？ (2017年7月12日 17時) (レス) id: e1eb8c8d20 (このIDを非表示/違反報告)
lying doll(プロフ) - みかづきさん» ありがとうございます(´∀｀*)了解致しました〜 (2016年8月29日 11時) (レス) id: 9b1d9c93d0 (このIDを非表示/違反報告)
みかづき - リクエストよろしいでしょうか？「嘘嫁」の番外編が見たいです。 (2016年8月29日 9時) (レス) id: 9bc726f217 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：月ヶ瀬ましろ | 作成日時：2016年8月28日 19時
