未成年【銀八】 ページ12
高校を卒業してから約1ヶ月の月日が経った。
サークル、レポート、バイト三昧。
「大学生って超ヒマだよ!」って言った奴出て来い、この大法螺吹きめ。暇なんてどこにも無い。
こんな慌ただしい生活を送っていると不意に3Zの愉快な仲間達が恋しくなったりするのだけど…、
「なーんて思ってたけどさ」
と、呟きながら見上げる居酒屋。
恋しいなぁ〜と思ったのは3Zメンバーであって、決して銀八相手にそんな事は一ミリも思ったりしなかったのに。私は銀八先生に呼び出され、一ヶ月ぶりにそのご尊顔を拝もうとする寸前にいた。
(今夜空いてるか?って何かいかがわしい誘い方)
開いたままのメッセージボックスに目を落とせば洒落た誘い文句なんてどこにも無くて、深読みすれば元生徒へ送る文としては最悪のそれは自分自身の自意識過剰さを感じさせるのに十分であった。
(ま、奢るって言ってたしね)
そんな事を滅多にしてくれるような人でも無ければ、流石に恩師に対する信頼だって持ち合わせている。一瞬でも変な想像をした過去の自分を鼻で笑って、脂ギッシュギトギトの暖簾をくぐった。すると、すぐに見慣れた…いや、懐かしの天パの後ろ姿。
「こんばんは」
と、カウンターに向かうその人に声を掛ければ緩やかな動作で先生は振り返った。相変わらず生きていない目を私に向けて「おー、久しぶりじゃん」なんて重みも深みも感じない一言。私は先生の横に腰を落ち着けた。
「うわっ…お酒くさっ」
先生は既に飲み始めていたらしく、僅かに赤くなった顔をにへぇ〜とさせて「だぁ〜ってAチャン遅いんだもぉ〜ん」と猫なで声を披露するのだが、ぶっちゃけ可愛くない。てか、キモい。
「Aチャンも飲む?」
「いやいやいや、まだ未成年だし!!」
酔っ払い特有のウザさに顔を顰めて私はオレンジジュースを注文した。先生は「そーだねぇ、まだオコサマですもんねぇ」と。カチン、とくる言い回しだ。
「悪かったですね、オコサマで」
「ンな悪ィ事ねーよ、そんな早く大人になられちゃあ困るってモンだ。……俺の知らねェとこで」
「え、…今なんて……」
「別に?」
後半のゴニョゴニョしていた部分で何かを言われた気がしたが、呂律の回っていない先生の滑舌は本当にcv.杉田智和かと思うぐらいに悪くて。その言葉を吟味するよりも前にオレンジジュースが私の前にコトン、と置かれたのだ。
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月ヶ瀬ましろ(プロフ) - 詩織さん» コメントありがとうございます!内容によってはお待ちして頂く事になりますが受け付けておりますよ(^-^)/ (2017年7月12日 21時) (レス) id: b30e496864 (このIDを非表示/違反報告)
詩織 - リクエストって、今も受け付けてますか? (2017年7月12日 17時) (レス) id: e1eb8c8d20 (このIDを非表示/違反報告)
lying doll(プロフ) - みかづきさん» ありがとうございます(´∀`*)了解致しました〜 (2016年8月29日 11時) (レス) id: 9b1d9c93d0 (このIDを非表示/違反報告)
みかづき - リクエストよろしいでしょうか?「嘘嫁」の番外編が見たいです。 (2016年8月29日 9時) (レス) id: 9bc726f217 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月ヶ瀬ましろ | 作成日時:2016年8月28日 19時