《おそ松さん》お粗末な短編集

醜い感情（おそ松） ページ17

私はエスパーニャンコが嫌いだった
私の醜い感情を透かしていくから

親友のトト子が好きなおそ松くんに恋をした報われないし

皆と一緒にいるにはすべてを隠しとおして演技しないといけなかった

トト子のかわいさに嫉妬して
選ばれない自分を卑下して
選んでくれないおそ松くんを恨んで
選ばれるトト子を羨んで

つまるところ私の心は愛と言う赤色を重ねて重ねて重ねた
結果私の心は真っ黒になった


だから演技する、なにもかも欺くために

ただただあなたの側にいたいから


「ねぇ！Aちゃんこの猫ね人の本心がわかるんだよ」

家に訪ねた時に十四松が言った
今日は十四松しかいないらしい
この猫を騙しとおせるだろうか


「そうなんだ……」

『なんでそんな猫が』

「黙って！！」

『黙って！！私の醜い感情を言わないで』

「Aちゃん……？」

「ごめんなさい、十四松聞かないで」

『誰か助けて！話を聞いて！』

「嘘言わないで！」

猫がピュッと逃げ出した
あとからあとから涙が出てきて仕方ない

「俺が聞こうか？」

「聞かないで……誰にも言わないで……」

十四松が優しく抱き締めてくれる
その優しさがさらに涙腺を緩ませる

この涙と一緒に醜い感情も無くなればいいのに


続く

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