3話 ページ4
『ひーげきりー』
やたらでかい本丸の縁側を歩きながら髭切を探す。おかしいな…この時間帯はいつも外ではしゃぐ短刀たちをにこにこと見ながら縁側でお茶でも啜ってるのに。
「あるじさま!どうしたんですか?しゅつじん、ですか?」
ぱたぱたと向こうからやってくるのは今剣だ。
『こんにちは今剣。出陣はしないよ、今日はお休みの日でしょう?』
駆け寄ってきた今剣の目線までかがみ、頭をなでてやると目を細めて嬉しそうに笑う。
「そうでしたね!でも、ぼくはいつでもいけます!なにかあったらいちばんにしゅつじんさせてくださいね!」
そう言うと同時に庭から主君!大将!あるじさま!あるじさん!と短刀たちが駆け寄ってくる。
「ボクもいつでもいけるよ!」
「少し休んじまうだけで平和ボケするからなぁ〜俺もいけるぜ」
俺も僕も!と次々と声をあげる短刀たちをみて自然と笑みがうかぶ。
私の本丸では週に一度、刀剣男士たちに休日を設けているのだ。今日はその日である。急を要する出陣もないので彼らには一週間分の疲れをしっかり取ってもらいたい。
『えらいえらい、ありがとう。でもつい最近、大きな闘いをしてきたばかりでしょ?休みの日ぐらいはちゃんと休まないと…あっそうだ、お菓子があるからおやつにそれ食べていいよ』
光忠に言えば出してくれるはずよ、と付け加えると、わーーい!と次々に厨房の方に駆け出していく。
「ったく現金な奴らだなー」
『ふふ、薬研も早く行かないと全部食べられちゃうよ?』
「そこまで子供じゃねえよ、俺は」
ふふふ、と笑うと薬研はなんだよ、と頬を膨らませる。神様であるのに見た目で判断し子供のように扱ってしまうのは悪い癖だ。10年以上審神者をやっていて、まだ幼い頃は兄のように慕っていた薬研も今では甘やかすように接してしまう。
「そういや大将、誰かを探してたんじゃないのか?」
『……あっ!!!そうだ髭切!!!』
可愛い子たちに囲まれてすっかりあの文のことを忘れていた。早く髭切に話を聞いて政府に向かわなければならない。
「髭切の旦那?髭切の旦那なら…あ、ほら池の方にいるぞ…って……鴉?」
『え?鴉?』
困惑する薬研の視線を追うと、池のほとりで鴉を手に乗せなにやら話している髭切を見つけた。
『……なにやってるのあの人』
「さあ?」
とりあえず行ってくる、ありがとうと薬研に言うと、「おう、菓子、馳走になるぜ」と返ってきた。なんだかんだ言いつつ食べるのね。
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柊(プロフ) - 江戸城産くむっぷるさん» わああありがとうございます、絶賛心が折れかかっていたので言葉が染みました…!ぜんぜん鬼滅感なくて申し訳ないです、頑張りますね! (2020年1月19日 22時) (レス) id: 9ff44349a6 (このIDを非表示/違反報告)
江戸城産くむっぷる - (''界''いらなかった…すみませんんんん) (2020年1月19日 17時) (レス) id: 704c3ea7dc (このIDを非表示/違反報告)
江戸城産くむっぷる - 我こそは世界で最も心やさs(( ああああー!!とうらぶと鬼滅のクロスオーバーだああああ!凄く嬉しいです!更新頑張って下さい!!応援してます! (2020年1月19日 16時) (レス) id: 704c3ea7dc (このIDを非表示/違反報告)
柊(プロフ) - まぴおろごん@通りすがりの黒魔道士Aさん» 続けて失礼します、ご指摘をくださるだけでなく応援の言葉をもくださってとても嬉しいです、歓喜の舞です!本当にありがとうございます、頭爆発させながら頑張りますね!!!!!! (2020年1月17日 19時) (レス) id: 9ff44349a6 (このIDを非表示/違反報告)
柊(プロフ) - まぴおろごん@通りすがりの黒魔道士Aさん» えっえっえっまって審神者としてあるまじきな間違いしてんじゃん嘘だろ私審神者辞めようかな!!!全国全世界の審神者の皆様に心よりお詫び申し上げます!!!そしてご指摘本当にありがとうございます!!!細かくて全然いいんです!ありがたいですすみませんでした!! (2020年1月17日 19時) (レス) id: 9ff44349a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柊 | 作成日時:2020年1月13日 4時