23話 ページ25
試験までの三日間、大きな戦いはなく、戦闘は日課である任務でしかなかった。こんのすけによると現世にも時間遡行軍は現れていないらしい。
練度の高い彼らにとって日課の任務の敵には慣れっこであり、無傷で倒すのはお茶の子さいさいである。任務から帰ってきても疲れたような様子は一切見せなかった。
つまりはまあ、体力が全く減っていないのだ。
それは何を示すかというと。
『地獄だった……』
この三日間、私は彼らにしごきにしごき抜かれた。
つい昨日だって任務から帰った隊長の加州清光率いる彼らをお帰りなさい!今回もご無事で何より、と出迎えれば
「よーし、じゃあ主!今日は俺と手合わせね!」
と私の意思関係なしにすぐに稽古へと誘われた。
『いやでもほら、帰ってきたばっかりだし疲れてないとしても少し休んだ方がいいよ……っていうか休んで!あと清光は誉も取ってくれたし、手合わせはご褒美の後でも……』
そう言って少し抵抗すれば「ん、じゃあちょっと休んでくる」と素直にうなずいてくれた。うなずいてくれただけでよかったのに。
「じゃあ俺が休み終わるまで安定とか堀川とやってなね〜」
あいつら今日出陣してないでしょ、と言いながら手を振られる。
『……ん!?』
がっしりと両腕を掴まれたかと思いきやズルズルと後ろに引きずられた。
「はーい主さん、行きますよー!」
「清光も早く来いよー」
『待った待った待った!さっきまで他の人と手合わせやってたよね私!見てたよね!?休み欲しい!』
そう、私はただ単に遠征や出陣した部隊を心配したり嬉々としたりして待っていたわけではない。そんな暇も与えられず刀剣男士たちに言われるがままに刀を振っていた。いや少しぐらい心配する余裕ぐらいくれたっていいと思うのだけれど?
そんなことを考えながら必死にもがくも抵抗虚しくただただ引きずられ、真剣を握らされていたのであった。
このやりとりを昨日に限らず他の二日間ともやった。
彼らの主は後にこう語る。
ーー灰と化すかと思った。
『まってこれから試験本番?ねえ清光、私これ無理だと思うんだけれども』
疲労がとれてません、と藤襲山までの道のりを歩きながらつぶやく。
「無理?無理って刀を振りまくるのが楽しみすぎて無理ってこと?」
『うん違うよ?』
「違うよ清光、敵を前にして笑うのを堪えきれなそうで無理ってことでしょ」
『ちょっと大和守さん?』
疲労がとれてないって言ってるんですがね。
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柊(プロフ) - 江戸城産くむっぷるさん» わああありがとうございます、絶賛心が折れかかっていたので言葉が染みました…!ぜんぜん鬼滅感なくて申し訳ないです、頑張りますね! (2020年1月19日 22時) (レス) id: 9ff44349a6 (このIDを非表示/違反報告)
江戸城産くむっぷる - (''界''いらなかった…すみませんんんん) (2020年1月19日 17時) (レス) id: 704c3ea7dc (このIDを非表示/違反報告)
江戸城産くむっぷる - 我こそは世界で最も心やさs(( ああああー!!とうらぶと鬼滅のクロスオーバーだああああ!凄く嬉しいです!更新頑張って下さい!!応援してます! (2020年1月19日 16時) (レス) id: 704c3ea7dc (このIDを非表示/違反報告)
柊(プロフ) - まぴおろごん@通りすがりの黒魔道士Aさん» 続けて失礼します、ご指摘をくださるだけでなく応援の言葉をもくださってとても嬉しいです、歓喜の舞です!本当にありがとうございます、頭爆発させながら頑張りますね!!!!!! (2020年1月17日 19時) (レス) id: 9ff44349a6 (このIDを非表示/違反報告)
柊(プロフ) - まぴおろごん@通りすがりの黒魔道士Aさん» えっえっえっまって審神者としてあるまじきな間違いしてんじゃん嘘だろ私審神者辞めようかな!!!全国全世界の審神者の皆様に心よりお詫び申し上げます!!!そしてご指摘本当にありがとうございます!!!細かくて全然いいんです!ありがたいですすみませんでした!! (2020年1月17日 19時) (レス) id: 9ff44349a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柊 | 作成日時:2020年1月13日 4時