審神者と鬼狩りたちの話

22話 ページ24

『本当に恵まれたなぁ。ありがとう……さてと、そろそろ夕餉の準備だね。今日は私も手伝うよ、光忠、歌仙』


そう言って立ち上がろうとしたもののとある声によって動きを止める。


「駄目だよ主、稽古しないと」


……稽古？


声を発したのはにこにこと笑っている髭切だった。


『え、今から？外見てごらん、暗くなってるよ？』



日も沈み、辺りは暗くなってきていた。


「ありゃりゃ……今日の打ち合いで派手にやられてたのはいいのかい？」


『うっ』


「なに？主だれかと打ち合いになったの……ってちょっと！ここ擦り切れてんじゃん何してんの！？」

清光が私の顔を覗き込み、局長に転がされた衝撃で擦りきれてた顎に触れる。

『……ちょっと、局長とね』

そう言うとはぁ！？本当に何してんの！と清光に怒られた。

そして、安定が駆け寄ってくる。


「なになに？稽古？僕達もしようよ清光！」

「ええ〜〜？」


え、え、え。


「ボクに稽古つけて！いち兄！」

「骨喰、俺たちもやろうよ」

「ああ、兄弟」

そう言って彼らは外に出て行ってしまった。



『いやいやいやいや、みんな今日は休日だよ！ね！暗いし！！』

「鬼は夜に動くから、視界を慣れさせた方がいいと思うけど？」

『………………やり、ます』

「うん、いい子いい子」


髭切が頭を撫でる。

私の本丸の髭切は飴と鞭を使い分けるのが上手なようで。

あと、髭切の言う「大抵のこと」の中に私は入ってないみたいですね。


稽古着に着替えようと自室へ向かう途中、


「兄者！俺も主の稽古を手伝おう」

「ありがとう……ええと……ひじ」

「膝丸だ兄者ぁぁぁぁぁぁぁ」


そんな会話が聞こえたような。




「あはは、元気だなぁ。じゃあ僕たちは美味しいご飯を作ろうとしようか、歌仙くん」

「そうだね燭台切」


今日は何にしようか？と笑いながら食事係は厨房へと向かう。



そんな和気藹々としたやりとりを見て三日月宗近は、はっはっはと笑う。

「よきかなよきかな。若い者は元気だな……だが今回は俺も本気を出さなければならないようだ。鶴よ、少々付き合え」


呼ばれた鶴丸は珍しいものを見たように目を輝かせる。


「あの三日月宗近が動くとはな、こいつは驚きだ！いいぜ、いくらでも付き合おう」


そう言って鶴丸は外へ出た。




「(鬼と時間遡行軍……少しどころかかなり危ないかもしれんな……よもや、主ならば……)」



三日月宗近は空を見上げる。






月が綺麗だった。

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