５６.未来 ページ10
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「それは…、つまり、私が見た記憶は、私の都合の良いようにねじ伏せられている可能性があるということですか…？」
「そうじゃ。
じゃから、記憶に囚われすぎてはいけないぞ」
ふと頭に浮かぶのは、ブラック家を恨めと囁く声。
カノープスに抱く感情は愛だけだったとしても、彼女はブラック家そのものを憎んでいたのだと思っていた。
そもそも、それ以外も信じられないってことなのか？
例えば彼女と彼が愛を囁き合ったことさえも。
「それはまだ、ヴィアンカ家の真の力ではない」
「…？、どういうことですか？…真の、力って」
ダンブルドアは一際真剣な顔をして私を見つめる。
秘密を知ってしまった者がする顔。
覚悟と、薄い躊躇いと、人の運命を変える身勝手な顔。
私は無意識に唾を飲み込んでいた。
「数百年に1人、光に透かせばキラキラと光る金髪を持つ女の子が産まれるそうじゃ」
「……」
「その子は多大なる運命を背負う。
そして、早いうちに決まった相手と結ばれなければ、若いうちに命を落としてしまう」
「……」
「決まった相手とは、生まれた時から、その運命の元にいる相手じゃよ…。
いくら抗おうと、その相手と引き裂かれはしない」
ここまではいいかね？とダンブルドアは心配げに私を見つめる。
なんとか返事をして、続きを促した。
「多大なる運命の話じゃ…。
マリア、これは運命という名の、呪いじゃ…」
ダンブルドアは一度話をとぎる。
短く息を吐いて、こう言った。
「君は…、未来を見ることができる」
「…は？」
思わず素っ頓狂な声が出る。
つまらない冗談ですね。と笑ってみせようと思ったが、ダンブルドアの顔は真剣そのもので嘘を言っているようには思えない。
いや、そもそも今ここで私に嘘をつく利点がない。
それに文献でと言っていたが、私がダンブルドアに話していない記憶のことも全て知っていた。
ならば、それは
「…大きな力じゃ。強力な力でもある」
「待ってください、…それが、もし本当ならば、どうやって…」
不意に今朝のことが頭に浮かぶ。
突然響いた先生の声と、この光景。
「それは、君が1番知っているはずじゃ」
あぁ、そうなのか。と静かに絶望する。
不思議な感覚が全身を駆け巡る。
指先からどんどん冷えていく気がして。
「そこで、君にお願いしたい」
「…なんでしょう……」
「君に、未来を視てほしいのじゃ」
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こっこ(プロフ) - 初めまして！コメント失礼します！とても面白くて1作品目から一気に読ませていただきました！もう更新のご予定はないのでしょうか？お待ちしております (2021年12月5日 22時) (
レス) @page22 id: 87bbda5ac3 (このIDを非表示/違反報告)
ihok(プロフ) - 麗さん» ご指摘ありがとうございます。修正致しました。 (2021年5月28日 13時) (レス) id: 88eeb2d42f (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 11ページにも同じように リア という名前が出てきています (2021年5月28日 13時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 9ページ リア というのは夢主のことでしょうか？ (2021年5月28日 13時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
ihok(プロフ) - ぴっぴさん» ありがとうございます！そう言って頂けてとても嬉しいです…！とても励みになります！ (2020年12月16日 21時) (レス) id: 88eeb2d42f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ihok | 作者ホームページ：http://mobile.twitter.com/ihok__
作成日時：2020年11月13日 14時
