５２.もしものこと ページ6
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リリーに言われた言葉が頭に響く。
前にも言われたことのあるような言葉。
『…マリアのためにつく傷なら、俺には必要な傷なんだ。きっとそれは、俺のための傷でもある』
…本当に、そうなのだろうか。
その言葉に甘えて、シリウスを枷で繋いでもいいのだろうか。
ホグワーツにいた頃は違った。
あの頃はまだ、安全だった。
「…はぁ」
鏡に写る私は、随分と疲れた顔をしている。
やだなぁ…と思いながらマッサージをして、シリウスが待つ寝室はと向かった。
とりあえず今は仕事も忙しいし…。
落ち着いてから考えよう…。と。
「…シリウス」
「やっと来たのか」
寝室の扉を開けると、ベッドの上で読書をしている彼。
「待ってなくていいのに…」と小さく言えば、「俺が一緒に寝たいだけ」と答えてくれる。
私を甘やかしすぎだよ…と思うのと同時に、彼はホグワーツにいた時から変わらないなとも思う。
ベッドに乗り、シリウスの肩に寄りかかる。
ベッドが軋みをたて、シーツの擦れる音が寝室に響いた。
「どうした？」
「ううん…」
そうしていれば、本を閉じて私の頭を撫でてくれる。
優しく回された腕に、この上なく安心してしまって。
少し体勢を変えて、横からシリウスに抱き付けば頭の上から微かな笑い声が降ってくる。
彼の胸板に頭を擦り付ける。
目を閉じて、この身を委ねれば、彼は背中に腕を回してくれた。
「なんだ？甘えたか？」
嬉しそうな声。半分笑っている。
「そうかも」なんて適当な返事をしながら、彼の匂いに包まれた。
「疲れた…」
「あぁ…」
お疲れさん。と背中をポンポンと叩かれる。
シリウスもね。と背中を撫でれば、ありがとよ、と更に抱きしめられて。
幸せだなぁ…。
こんなに、シリウスの体温に包まれて、シリウスの匂いが体を満たすなんて。
だからこそ、彼を大切に思う。
自分より大切だから、もし自分に何かあった時のことを考えてしまう。
「マリア？」
それは、本当にシリウスのことが大切なのではなくて、私のことが心底大切だから、こんなことを思うのかもしれない。
___だから私は、貴方の代わりに死んだの。
あぁ、まただ。
___憎みなさい、ブラック家を。
頭の中に響く、あの女性の声。
違う。貴方とは違うの。と言い聞かせるように、繰り返す。
___違くないわ。だって、貴方は
「違う…！！」
咄嗟に耳を塞ぐ。
違う。貴方と私は、違う。私はシリウスを憎んでなんていない…！！
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こっこ(プロフ) - 初めまして！コメント失礼します！とても面白くて1作品目から一気に読ませていただきました！もう更新のご予定はないのでしょうか？お待ちしております (2021年12月5日 22時) (
レス) @page22 id: 87bbda5ac3 (このIDを非表示/違反報告)
ihok(プロフ) - 麗さん» ご指摘ありがとうございます。修正致しました。 (2021年5月28日 13時) (レス) id: 88eeb2d42f (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 11ページにも同じように リア という名前が出てきています (2021年5月28日 13時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 9ページ リア というのは夢主のことでしょうか？ (2021年5月28日 13時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
ihok(プロフ) - ぴっぴさん» ありがとうございます！そう言って頂けてとても嬉しいです…！とても励みになります！ (2020年12月16日 21時) (レス) id: 88eeb2d42f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ihok | 作者ホームページ：http://mobile.twitter.com/ihok__
作成日時：2020年11月13日 14時
