６８.落ちる ページ22
・
「！？」
流れ込んできた映像。
は…と息を吐き出す。
心臓はバクバクと早鐘を打ち、冷や汗が顔の輪郭を伝った。
酸素が足りない。息が苦しい。
でも、書かなければ。恐らく失敗に終わると。
急いで羊皮紙を引き寄せる。
忘れてしまう前に、早く。
羽ペンを握ろうとするが、なかなかうまく握れない。
それでもどうにか握って震える手で文字を書こうとする。が。
ふっ…と気がつく。
…あれは失敗すると明言していたわけではなかった。
これではダンブルドアを説得する材料にはならない。
もっと詳しく視なければ。もっと鮮明に。
でないと、リーマスを助けられない。
ぐっと指輪が嵌められている指ごと握る。
視なければ。視て、視て、ちゃんと…
『奴等を味方に引き入れることは諦めるのじゃ』
『闇の帝王を打ち破る________7つ目の____死ぬ_______』
『_________、トレローニーが____セブルス・____________リリーが！！』
「マリア！！！！！」
突然目の前の映像が消え失せた。
目の前にはよく見知った整った男の顔。
止まっていた呼吸に、は、と短く息を吐き出した。
誰かの悲鳴、声、雷の音
「おい、マリア、」
目の前の羊皮紙を手繰り寄せる。
ペンを闇雲に握って、むちゃくちゃに今視たことを書き綴った。
失敗だったとダンブルドアは行言った。やった価値はあった ホグズミートに行ってはいけない奴等を引き入れることは諦めろ闇の帝王を打ち破る7つ目の何かが死ぬトレローニーがセブルス・スネイプがリリーが
読まればいい。意味なんて、わかればいい。
文法も何もかもぐしゃぐしゃだ。でも、でも、でも、
「っ！！！ごほっ！」
「おい！！」
気道をものすごい勢いで何かが駆け上がる。
逆らえずに空気を吐き出せば、口の中に鉄の生臭い匂いが広がった。
「………、」
「………は」
己の手を濡らしたのは、赤。
急激に視界が白む。
瞼が落ちてきて、目を開けていることができなかった。
指の先が冷えていく。頭が冷たくて熱くて
シリウスの私を呼ぶ声が、遠のいていった。
おかしい。なんで。なんで、遠くに、
「マリア！！」
あぁ、私が血を吐いたのか。
でも眠いの、シリウス。
全身の力が抜けていくのがわかる。
もう自分の力で体を支えられているはずないのに、痛みは襲ってこない。
右も左も、上も下もわからないまま、意識は落ちていった。
続く (更新停止中)
お気に入り登録で更新通知を受け取ろう
←６７.身の潔白
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 208人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハリーポッター」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
こっこ(プロフ) - 初めまして！コメント失礼します！とても面白くて1作品目から一気に読ませていただきました！もう更新のご予定はないのでしょうか？お待ちしております (2021年12月5日 22時) (
レス) @page22 id: 87bbda5ac3 (このIDを非表示/違反報告)
ihok(プロフ) - 麗さん» ご指摘ありがとうございます。修正致しました。 (2021年5月28日 13時) (レス) id: 88eeb2d42f (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 11ページにも同じように リア という名前が出てきています (2021年5月28日 13時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 9ページ リア というのは夢主のことでしょうか？ (2021年5月28日 13時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
ihok(プロフ) - ぴっぴさん» ありがとうございます！そう言って頂けてとても嬉しいです…！とても励みになります！ (2020年12月16日 21時) (レス) id: 88eeb2d42f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ihok | 作者ホームページ：http://mobile.twitter.com/ihok__
作成日時：2020年11月13日 14時
