珈琲十四杯。 ページ15
私は椅子に座る。
ことり、と目の前には丸い氷と酒が入ったグラスがおかれる。
「そもそも … 僕は未だ、確りと恋、という物を認識していないんです。
貴方に云われてから存在をぼんやりと掴めた程度です、
未だ、私が、彼女を恋愛的に好いているなんて決まった事じゃ … 、」
そこで、ぴたりと言葉を失う。
決まった訳じゃない ? 何を言っている。
彼女が笑い掛けてくる度に幸福感を得られているのは感じているだろう。
不意に寂しくなるのは彼女が居ないからだと気付いているだろう。
何で、僕はこんなに否定的なんだ。
何故、何故、何故 ?
考えていると不意に安吾、と声が響く。
僕は声の主を見た。
「安吾 ______ 君は彼女に恋をしている。
彼女を想っている。
それと同時に 、初めての" 恋 " と云う感情に戸惑い、其れを否定しようとしている。
彼女に振られるのを恐がっている。そうだろう ?」
彼の言葉がぐさり、と胸に突き刺さる。
はっとして彼の顔を見れば彼は無表情で、只一心にグラスを見つめていた。
からり、と氷は音を立てて割れてしまった。
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レナ(プロフ) - 完結おめでとうございます。バットエンドだったのですが涙がでてしまいました。とても意味が深い小説でした。これからもがんばってください。 (2016年10月24日 17時) (レス) id: 06bf2f6e81 (このIDを非表示/違反報告)
氷菓。(プロフ) - 沖田ふれあ@名前戻したさん» 実は、この小説は最初からバッドエンド、と決めていたんです。えぇ 、えぇ ( !! ) 是非、読ませて頂きます !! (2016年10月17日 16時) (レス) id: 150760e981 (このIDを非表示/違反報告)
沖田ふれあ@名前戻した - 氷菓。さん» こちらこそです。まさかあんなラストだ何て……。驚きました。えと、俺の書いてる小説も時間が有るとき見ていただけないでしようか?『探偵社所属、カップルの日常』と言うのなのですが…………。宜しければお願いします! (2016年10月16日 20時) (レス) id: 381ffeb3d6 (このIDを非表示/違反報告)
あ - 安吾!! (2016年10月16日 17時) (レス) id: ab5963e87e (このIDを非表示/違反報告)
はるる - コメント失礼します。安吾さんの描写に胸が張り裂けそうに……続きが気になるお気に入りの作品です!更新頑張って下さい! (2016年10月15日 22時) (レス) id: 76800349e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:氷菓。 | 作成日時:2016年10月1日 19時