12.伝わらない ページ12
「あ"っ!!!お前制服びちょびちょやんけ!!!待ってろ、今ジャージ貸したるわ…あ、部活用しかねぇわ、これで勘弁して!!!洗ってあるから臭くないはずやから…」
「えっ、いや、そんな流石に悪いです…部活どうするんですか。」
「ユニフォームでえぇやろ!」
「寒いですよ…、いいです、大丈夫です。」
「遠慮せんでえぇから!!」
ぐい、と水色の先輩らしいジャージを押し付けられる。
真っ直ぐな先輩の瞳に声が出なくなる。
助けて。
そう思って会長と副会長を見れば2人はそそくさと部屋から出て行った。
「あっ、ちょっと!会長!副会長!!」
「頑張ってな〜。」
あ の 野 郎 !
なんで皆助けてくれないのよ。
「先輩、ほんとに悪いので…家近いし大丈夫です。」
「俺が大丈夫やないから!!」
「いや、そう言われても…」
ぐい、ぐい、と押し付けてくるから自然に体が反る。
そろそろキツイです。落ちそう。
「着ないんなら脱がすぞ!!!」
「いやそれはマズイですよ先輩!!!」
「なら着て!!!」
「大丈夫ですってばほんとに!」
ぐい、と押し返す。
反らされてた体は元に戻って逆に先輩の体が少し反る。
「なんでそんな遠慮するん!?」
「え、遠慮なんて…」
言葉が詰まる。
そうだ、私はなんでこんな遠慮している?
遠慮っていうかもう拒絶だよね。
なんで、どうしてだろう。わかんなくなる。
「と、とにかく…大丈夫ですって。」
「大丈夫やないって!冷えたらどうすんねん!!それに掛かったままやと周りの目も気になるやろ、女の子なんやから!!」
「う、うぐ…」
「着ないならほんとに脱がすぞ!!!」
そう言われて先輩の手が私の制服に伸びる。
「えっ、ちょっ、ちょっと!!」
ブレザーの上のボタンが1つ外されたところで先輩のジャージを奪い取ってしまった。
「わ、わかりました着ますから!!着替えるから出てって!!」
「おぉ、よかった。」
優しくて笑う貴方にはどうしても勝てないのだ。
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氷菓。(プロフ) - 紅月さん» ありがとうございます!コネシマさんは好きな女性にはわりと心あると思っておりますので…! (2018年4月8日 12時) (レス) id: b88cedb558 (このIDを非表示/違反報告)
紅月 - とっても好みな小説でした!相手のことを思ってるコネシマが好きです( ˙-˙ ) (2018年4月8日 10時) (レス) id: b978a7b95f (このIDを非表示/違反報告)
拳で抵抗する桐生(プロフ) - あぁ^〜コネシマ好きぃ^〜 (2018年1月17日 9時) (レス) id: 730bab422c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:氷菓。 | 作成日時:2017年12月29日 13時