違うんです。中也さん。

お願い16 ページ19

『お待たせ待った？』






「い、いいいいいえ！全然！全然です！」







『そ、そっか良かった。じゃあ入ろっか？』








「はい！」








『何飲む？』








「おれ…自分はジンを。」








『じゃあ私はカシスオレンジで良いかな。』








「あれ？弱いんですか？」









『弱くはないんだけどこの後仕事があるからね。』








「え？！し、仕事があったのに良いんですか？！」






『良いの良いの。急ぎじゃないし。』







「なら良いのですが…」






『ふふふっ。心配してくれてありがとうね。』








「いえ！自分は当たり前のことをしたまでです！」






『そんなことないよ。人のこと心配してここまでやるって素敵なことだと思う。』







「そ、そんな…」



今日は暑いですね！と言って彼はジンを一口飲んだ。





それから雑談をして30分くらい経った頃…




「…あのAさん。」







『ん？なぁに？』






「最近、中也さんとはどうなんですか？」




胸がドキッとなったのが自分でもわかった





『ちゅ、中也は忙しいからなぁ…最近話してない…かも。』






「淋しい…ですか？」






『そんな事ないよ。ちゃんとよくしてもらってるし！』






「嘘ですね。」






『え？』






「もし中也さんと仲がいいのなら、簡単に中也さんが男と飲みに行くのを許すはずがない。…そもそも、あなたも断るでしょう。」






『……』






「Aさん。…中也さんなんかじゃなくて、俺にしませんか？」








『……………へ？！』







「俺ならあなたを寂しがらせたりしません！中也さんよりも幸せにします！」








『………』







「…どんなに後でもいいです。お返事ください。待ってますから。」






会計をして来ますねと彼は席を離れていった。






『………へ？』







私はそれしか言えなかった。

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