兄妹でした【太宰治】

兄妹24 ページ25

「えー？本当ですか？」






「本当さ。なんならよ…」






あの後から私は随分と中原さんと打ち解けていた。





「…なぁA。」






「なんですか？」








「手前、太宰と兄妹なんだって？」








「………へ？！何処でそれを！」








「太宰から聞いた。」








「ぐ…」





あの人、口軽い。







「まぁあいつと兄妹なんて嫌だろうな。俺も嫌いだあんな奴。」








「…多分、私の嫌いと中也さんの嫌いは違うと思いますけど…」








「そうかぁ？」








「ま、向こうも私のこと嫌いなんでしょうし、別に良いですけどね。仮面夫婦ならぬ仮面兄妹でも。」







「ははっ！なんだそりゃ。手前らの場合は仮面もねぇじゃねぇか。」








「うぐ。」








「…仲良くしとけよ。家族がいるってのは良いことだと思うぞ？」







家族もいないやつから見たらな、と中也さんは言った。







「…私は、中也さんがお兄ちゃんの方が良かったです。」





すると前でガタンっという音がした。







「………」






「あ…太宰…幹…」







「よぉ幹部サマ。こんな所へ出向くとは珍しいな。あぁ？」








太宰幹部はニコリと笑って






「妹の迎えに来ただけだよ。」




と言った。




そして私の手首を掴むと





「帰るよ。」





と一言だけ言った。





「待てよ。俺はそいつと任務だなんだぜ？これから報告に行くんだ。」







「そんなの中也1人でもできるでしょ。それとも何？中也は年下の最下級構成員がいないと任務の報告もできない無能なの？」







「…ちっ。わぁったよ。」







「あ…中也さん…」








「行けよ。行って来い。」








「…はい。」








太宰幹部はとても冷たい手をしていた。

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