【HQ】兄弟不平等理論【男主】

# thirty ページ32

・



黒尾side




牛若にAを背負ってもらい、鷲匠監督に俺が状況を説明しながら保健室へと向かう


Aの様子が少しずつ良くなっているのを見て安心した







「＿＿…つまり、トラウマが原因だと。」

『そう、なります』

「ハァーｯ…ったく、こいつも天童みたいなら楽だったんだがな」






Aをベッドに寝かせた後、笑いながらそう言う鷲匠監督



口では、そうですね、と言ったものの

…笑えねぇって


その想いが顔にも表れてしまったのか、得意なはずの笑みが引きつる



あ、やべっ、


いつも通りの笑みになったときには遅かった







「なぜそんな顔をする」






牛若に見られていた


曇りのない真っ直ぐな瞳でこちらを見てくる






「お前が、そんな顔をする必要はないだろう。これはAの問題だ。」

『それは…分かっているけど』

「ならなぜ信じてやらない？」






信じ、て…？


俺は、Aを信じていなかった…？







「Aは逃げているだけだが、乗り越えられないわけではない。だが、乗り越えるための手助けは俺達がしないといけない。そうだろう？」

『…あぁ』

「お前はAの手助けではなく、逃げ道を作っているにすぎない」






"逃げ道を作っている"

牛若のその言葉が、重くのしかかる




俺は、あいつを助けたかっただけなのに


俺がしていたことは、Aを助けることとは真逆

なに、してんだかな…




だけど、だからって今のままで良いわけでもない


Aにはもう、あんな思いはしてほしくないから






「今お前が、Aの為にできることは何だ」

『…菅原に知ってもらう事、だ』

「ならばそうすればいい。」

『Aに怒られようと関係ねぇ。これが俺なりの手助けだ』






そういって顔をあげると、牛若は笑っていた


…笑っている顔初めて見たかも

--

久し振りに戻ってきたら、語彙力０になってましたオワタ

# thirtyone→←# tewntynine

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す