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キヨは過呼吸気味の浅い呼吸を繰り返して、それこそいつもより神経を集中させて声に耳を澄ました。
カバンに入れた盗聴器はどうやら浅い部分に引っかかってくれていたらしく鮮明に男の方の声までキヨにはしっかり聞こえていた。
「おはよ、仕事お疲れ様。今日もストーカーはついてきてた？」
『その事なんですけど今日はたまたま送ってくれた方がいて大丈夫でした』
なんだ、報告をいつもしていたのか？
何処の馬の骨ともしれないやつにAちゃんはそうやって恋人に話しかけるみたいな声出して話すんだ。
そうキヨが自分の中で思った瞬間に反射的に力任せな拳で机を殴った。
ありえない。Aちゃんの隣は俺に決まっているのに。そんなやつなんかに。あんな俺より劣りまくってるやつに。
憎悪と怒りは冷めることなくマグマのようにふつふつと脳を赤黒く染める。
林という人間をキヨは前から知っていた。
何度かAと話している姿を見たことがあり、また親しそうにしていたのを嫉妬の一心で脳裏に焼き付けていたからだ。
Aの先輩のコンビニ店員で、薄っぺらい笑顔をAに向けるとんでもなく気持ち悪いやつだとキヨは徐々に林という男に対してのプロフィールを思い出していく。
「そっかー！よかった。本当は俺が送り迎え出来たらいいんだけど…出勤時間被らないからね」
『いやいや！迷惑かけられないですよ』
AちゃんもAちゃんだ。こんな男と仲良くするとは本当に見る目がない。
もしかしたら遊び半分でその男と会話しているのかもしれないが、男は単純な生き物なんだよ。
まるで自分が一番Aの事を理解しているかのようにキヨは必死に脳内で語りかけては自己解釈をした。
やがて二人の会話は先程の自分達よりも盛り上がり始め、楽しそうな声が聞こえてくる。
すぐにその音から耳を塞ぎたいのに、Aの声を無駄にしてしまうようで出来なかった。
真っ赤に腫れた目で泣きながらカッターで左手首に深い線を落とす。
分厚い蚯蚓脹れの傷の上を更に切ったことにより、開いた唇の様に無様な姿になっていく。
夢中だった。
辛いという気持ちとこの気持ちを忘れないという戒めの気持ちと苦しみが血と混ざって出ていくような感覚に酔いしれた。
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なみの。 - 壊れちゃった主人公ちゃんのふわふわした喋り方好きです・・・！とっても面白かったです。 (10月17日 23時) (
レス) @page48 id: 20a9a81cbb (このIDを非表示/違反報告)
霜はっぱ - 完結おめでとうございます!衝撃の最後!!びっくりしまった。流石です(^^)こういうのいっぱい欲しいです!でもあなたの作品はあなたが操るべきなのでご自身の思うがままに書いてくださいね!ほんとにお疲れ様でした!! (2020年9月23日 23時) (レス) id: 03879a5800 (このIDを非表示/違反報告)
草の管理人 - 終わってしまったあああ!!!だがおめでとうございます!!言うのが遅れて申し訳無いです。想像の遥か上を行く最後で口が開いてしまいましたwほんとにお疲れ様でした!わがままですがこれからも病んでる作品いっぱい欲しいです…w (2020年9月23日 23時) (レス) id: 03879a5800 (このIDを非表示/違反報告)
蠍(プロフ) - るなさん» え〜！？いつもありがとうございます！本当に書いているだけでこちらも体力を削がれるものだったので魂を削って書いた甲斐がありました。そのお言葉大切にします！私もこの作品とてもお気に入りなので愛してやって下さい！最後までありがとうございました！ (2020年9月22日 2時) (レス) id: ade8825d25 (このIDを非表示/違反報告)
蠍(プロフ) - 千景さん» 心に刺さるなんてそんな！もったいないお言葉ありがとうございます！重苦しすぎるヤンデレはこれからも書くと思うのでその時はまたよろしくお願いします！ありがとうございました！！ (2020年9月22日 2時) (レス) id: ade8825d25 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蠍
| 作成日時：2020年6月1日 0時
