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キヨはAに対し多くの嘘を吐いていた。
仕事をAのアルバイト先の近くでしているというのは勿論、趣味に話を合わせたのも前々から重ねてきたリサーチがあってこそのものだった。
強いて言えばAの両親と仲良くなったきっかけだけは事実であるものの、それも偶然その場に立ち会った訳ではなく、情報収集の為にAの母親の後まで着けていた時に出くわしただけであった。
何一つ褒められたものでは無い。
嘘で塗り固めた会話は事を進展させるどころか、寧ろ悪化させているのもキヨは重々承知の上だった。
それでも口角が痛むほどに笑みが収まらない。
嘘であろうとAと対等に話せた事が何より嬉しかった。
罪悪感よりも多幸感と達成感の方が圧倒的に感じられた。
キヨは嘘は言っているうちに本当になることを知っている。
仕事はしていなくとも収入がゼロな訳では無い。
彼女の趣味なら知り尽くしたし、自分でも実践している。
魂胆があろうと、親を助けたことだって行動だけは事実である。
「大丈夫、上手くやれる。だって俺の愛はそんなものじゃない」
薄明るくなってきた道端で言い聞かせるようにキヨは呟いた。
▲▼▲
キヨは帰ってからひたすらにAに持たせた盗聴器の音を聞くためにヘッドフォンに耳を押し当てていた。
微かな生活音も、呼吸も、肌と肌が擦れる音すら聞き逃したくはないのだ。
鼻をすする音や咳はいつもなら聞けない音声なのでとてもレアだ。
それ故、どうしても聞く度に口に手を押し当てて興奮を抑える。
時刻は朝の八時。
キヨはAが九時くらいに就寝する事を既に知っていたので、彼女が寝るまでその音に浸ることにした。
寝たことを確認したら自分も寝よう。
…なんだかカップルの寝落ち通話みたい。
薄暗い部屋にたった一人だというのにキヨはひたすらにそんな妄想をして、陽気に足をパタパタと動かしていた。
『……あ、もしもし？林さん、お疲れ様です』
突然、彼女の声が聞こえしかも誰かと通話している事を察するとキヨはガタリとゲーミングチェアを大きく揺らして飛び跳ねる。
林。名は知っていた。
Aと同じコンビニで働く男の名前だった。
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なみの。 - 壊れちゃった主人公ちゃんのふわふわした喋り方好きです・・・！とっても面白かったです。 (10月17日 23時) (
レス) @page48 id: 20a9a81cbb (このIDを非表示/違反報告)
霜はっぱ - 完結おめでとうございます!衝撃の最後!!びっくりしまった。流石です(^^)こういうのいっぱい欲しいです!でもあなたの作品はあなたが操るべきなのでご自身の思うがままに書いてくださいね!ほんとにお疲れ様でした!! (2020年9月23日 23時) (レス) id: 03879a5800 (このIDを非表示/違反報告)
草の管理人 - 終わってしまったあああ!!!だがおめでとうございます!!言うのが遅れて申し訳無いです。想像の遥か上を行く最後で口が開いてしまいましたwほんとにお疲れ様でした!わがままですがこれからも病んでる作品いっぱい欲しいです…w (2020年9月23日 23時) (レス) id: 03879a5800 (このIDを非表示/違反報告)
蠍(プロフ) - るなさん» え〜！？いつもありがとうございます！本当に書いているだけでこちらも体力を削がれるものだったので魂を削って書いた甲斐がありました。そのお言葉大切にします！私もこの作品とてもお気に入りなので愛してやって下さい！最後までありがとうございました！ (2020年9月22日 2時) (レス) id: ade8825d25 (このIDを非表示/違反報告)
蠍(プロフ) - 千景さん» 心に刺さるなんてそんな！もったいないお言葉ありがとうございます！重苦しすぎるヤンデレはこれからも書くと思うのでその時はまたよろしくお願いします！ありがとうございました！！ (2020年9月22日 2時) (レス) id: ade8825d25 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蠍
| 作成日時：2020年6月1日 0時
