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夜、冷蔵庫を開けたレトルトはあっと声を漏らした。訳は冷蔵庫の中身にある。
買い溜めしておいたからだすこやか茶にしっかり冷蔵保存してあるシャケフレーク。これっぽっちしか冷蔵庫には入っておらず、要するに空に近い状態であったからだ。これでは今晩のご飯のおかずに困る。というかもう夕飯の支度はとうにしてあるので早急に欲しいところである。
面倒であるが買いに行くしかない。深くため息をつくと、ゆっくりと冷蔵庫の戸を閉めて落胆した気分を引きずりながら外に出られるくらいの支度だけをして玄関へと向かった。
外は今にも降り出しそうな思い曇天であった。
おかずだけを買うつもりが今のコンビニはなかなかに充実していて、つい必要ないはずのお菓子までカゴに入れてしまった。まあいい、どうせ明後日には食べ尽くしてしまっているだろう。
おかずよりお菓子のほうが楽しみになってしまい、何から手を付けようかと呑気に考えているときだった。
「冷たっ……」
突然首筋あたりに大粒の水が垂れて思わず驚きを声に出して仰け反る。夜の道路で大人一人不振な動きをしているのだから傍から見れば本当にやばい人間である。
しかしその大粒の水は次第に数を増していき、気付けば大雨として地に降り注いでいた。
最悪だなんて小さく口にして夢中になって走って近くの雨避けの屋根に潜り込む。生憎ここから家までの距離はこの雨では歩くのにはキツい。
「…げ」
なんとなく隣に緑の物体があることに気付き、振り向くと昨日レトルトが短冊を括りつけた笹がその場所に運悪く飾られていた。
どこまで俺は七夕に呪われているのだと自嘲してがっくりと肩を落とす。
ヒラリと風に揺られて舞う複数の短冊。その中にはしっかりとレトルトの短冊も舞っていた。
【Aに会いたい】
その大量の短冊でもすぐに目に付いたのはあまりにも簡潔で今1番彼自身が願っていることであったから。
叶いもしないのにアホらしい。それでも藁にでもすがる思いで彼は昨日そう綴った。
ふと、
雨が止んだような気がして景色を見渡す。
しかし全くそんなことはなく雨音は次第に増していく。それでもレトルトが止んだと思ったのは
ほんの一部だけ雨が降っていないのだ。
いや厳密にはその部分だけ雨が避けて降っている。
激しく降り注ぐ雨は避けた部分の形をくっきりと表していく。
「………A…？そこに、おるの…？」
震えながらも自然と声が出た。
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color(プロフ) - 合っていまして… ！！徹頭徹尾好きで溢れてて同じ小説を書くもの、参考にもなりました…作者様のファンになりました笑 久しぶりのドキドキをありがとうございました、、！長文失礼しました。 (2022年6月12日 1時) (
レス) id: 6967548606 (このIDを非表示/違反報告)
color(プロフ) - 先程見つけて全部読ませて頂いたのですが……！言葉選びや表現の仕方等がとても素敵で…感動しました、どの話も好きです…特に「後悔愛に立たず」が一番好きです…思わず背筋がゾクッ、としましたし、彼の彼女に対する愛情や最後の終わり方が物凄く私の趣味に (2022年6月12日 1時) (レス) @page49 id: 6967548606 (このIDを非表示/違反報告)
蠍(プロフ) - もふたにえんさん» ありがとうございます！！言葉選びにはけっこつ気を付けています笑なのでそこに触れて頂きとても嬉しく思います！！本当にのろまな更新ですが引き続きよろしくお願いします。 (2019年9月16日 3時) (レス) id: 19b4bd13c3 (このIDを非表示/違反報告)
もふたにえん(プロフ) - 新しい話更新されていて急いで読みました！蠍さんの作品は全て綺麗な言葉で書かれておりどれも飽きません。完全に蠍さんのファンです笑これからもゆっくり更新待ってます！ (2019年9月16日 3時) (レス) id: a8f8fce798 (このIDを非表示/違反報告)
蠍(プロフ) - 佳奈さん» ありがとうございます！とっっっても励みになります！！ (2019年9月16日 1時) (レス) id: 19b4bd13c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蠍
| 作成日時：2019年6月27日 12時
