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「……それは怒られるよ」
「……やっぱそう思う？」
両手で顔を覆いながら話していた牛沢がほんの少し顔を上げてキヨの方へ目だけ向けると呆れと同情と言ったような表情の彼がジト目で牛沢を見ていた。
女心など毛ほども理解しなさそうなキヨにそう言われると最早悔しさなどの感情ではなく、通り越して自分が本当に傍から見れば馬鹿であったのかと気付く。となると一番女心が分かっていないのは自分なのだ。
「…うっしーはさ、Aちゃんが風邪引いてフラフラなの見たらどうすんの」
「え、そんなの心配して寝かして欲しいものがあったら何でも俺が」
「それどうでもいいって言われたのと一緒だよ」
あっと小さく声が漏れた。と同時にまた深い溜息をついて顔を両手で覆う。胸の奥底で渦巻いていた焦りは罪悪感へと姿を変えてヘドロのようになって重くのしかかった。
彼女と楽しい会話がしたい。その顔を笑顔にしたいから。でもその想いはあの時確かに彼女を第一に考えていたから出たのではなく、その顔を見てストレスを発散したいという自分の欲も混じっていた。
自分の為に、Aを良いように振り回していた。
…彼女の声もろくに聞かずに。
まともに聞かずにイライラして、自分を心配してくれている彼女の思いを跳ね除けた牛沢のどうでもいいなんて言葉は彼女の思いを踏み躙ったも同然であった。ぐるぐると頭であの時の惨状が目に浮かび、牛沢は死ぬほど後悔をした。
でも最後にしっかり思い浮かぶのはAのムッとした顔だった。
「…お前の方がよっぽどそういう所気が回るんだな」
自分には無いものを持っているような、そんな彼が今はとても羨ましくて静かに牛沢が呟いた。
「……そうでも無いよ」
その声が余りにも哀愁漂う重苦しいものだったので少し驚いて彼の方を見るとらしくない無表情でPC画面の方を見ていた。
何があったのかと口を開きかけた時に
『う、牛沢さん』
書類を持って申し訳なさそうな顔をしたAが話し掛けてきた。
久方ぶりに甘いハンドクリームの香りが牛沢の鼻を掠めた。
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color(プロフ) - 合っていまして… ！！徹頭徹尾好きで溢れてて同じ小説を書くもの、参考にもなりました…作者様のファンになりました笑 久しぶりのドキドキをありがとうございました、、！長文失礼しました。 (2022年6月12日 1時) (
レス) id: 6967548606 (このIDを非表示/違反報告)
color(プロフ) - 先程見つけて全部読ませて頂いたのですが……！言葉選びや表現の仕方等がとても素敵で…感動しました、どの話も好きです…特に「後悔愛に立たず」が一番好きです…思わず背筋がゾクッ、としましたし、彼の彼女に対する愛情や最後の終わり方が物凄く私の趣味に (2022年6月12日 1時) (レス) @page49 id: 6967548606 (このIDを非表示/違反報告)
蠍(プロフ) - もふたにえんさん» ありがとうございます！！言葉選びにはけっこつ気を付けています笑なのでそこに触れて頂きとても嬉しく思います！！本当にのろまな更新ですが引き続きよろしくお願いします。 (2019年9月16日 3時) (レス) id: 19b4bd13c3 (このIDを非表示/違反報告)
もふたにえん(プロフ) - 新しい話更新されていて急いで読みました！蠍さんの作品は全て綺麗な言葉で書かれておりどれも飽きません。完全に蠍さんのファンです笑これからもゆっくり更新待ってます！ (2019年9月16日 3時) (レス) id: a8f8fce798 (このIDを非表示/違反報告)
蠍(プロフ) - 佳奈さん» ありがとうございます！とっっっても励みになります！！ (2019年9月16日 1時) (レス) id: 19b4bd13c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蠍
| 作成日時：2019年6月27日 12時
