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随分前のものからここ最近のものまであるその大量の傷跡を撫でながら
「あそこに座り込んでたのはこんな傷ばかりつけるような野郎から逃げてきたから」
と言って捲っていたシャツを下ろし、キヨが長い溜息をつく。その艷麗な姿とは裏腹に先程Aが話していた空気とは比にならないくらいの重苦しい空気へと変わりゆくことが更に互いの緊張感を高めた。
キヨが長いまつ毛を揺らしながら瞬きをする。
「三年前、家族が莫大な借金の返済に追われてバラけたんだ」
彼が語ったのは今から三年前の話。父親の会社経営の為と作った莫大な借金を倒産と共に返済出来ないと分かった途端、母親は誰かも分からない愛人の元へ、父親は行方不明になった。優しかった兄はもうとうの昔に家出をしていて今も連絡知れずだと言う。となると借金を返せと迫られたのは一人残されたキヨ自身であることは必然だった。
当然大学をついこの前卒業したばかりの彼にそんな大金があるわけがなく彼は為す術なく首を横に振ることしか出来なかった。
そんな彼の身体を下から舐めるように見た男はいい仕事が都会にある、と言ってキヨをこの街へと連れてきた。それが突然何も知らないキヨが莫大な借金を抱える羽目になってから一週間ほど後だった。
地獄はここからだった。
「あいつら俺になにさせたと思う？」
語る声は次第に震え、キヨはいつしかAの角度からでは表情が伺えないほど俯いていた。
そんな彼の悲壮な姿にAは声を出すことが出来なかった。
「あいつら………俺を…俺を女みてぇな扱いすんだよ」
彼の拳は爪が肉を裂くのではないかと心配になるほど限界まで握られていた。
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color(プロフ) - 合っていまして… ！！徹頭徹尾好きで溢れてて同じ小説を書くもの、参考にもなりました…作者様のファンになりました笑 久しぶりのドキドキをありがとうございました、、！長文失礼しました。 (2022年6月12日 1時) (
レス) id: 6967548606 (このIDを非表示/違反報告)
color(プロフ) - 先程見つけて全部読ませて頂いたのですが……！言葉選びや表現の仕方等がとても素敵で…感動しました、どの話も好きです…特に「後悔愛に立たず」が一番好きです…思わず背筋がゾクッ、としましたし、彼の彼女に対する愛情や最後の終わり方が物凄く私の趣味に (2022年6月12日 1時) (レス) @page49 id: 6967548606 (このIDを非表示/違反報告)
蠍(プロフ) - もふたにえんさん» ありがとうございます！！言葉選びにはけっこつ気を付けています笑なのでそこに触れて頂きとても嬉しく思います！！本当にのろまな更新ですが引き続きよろしくお願いします。 (2019年9月16日 3時) (レス) id: 19b4bd13c3 (このIDを非表示/違反報告)
もふたにえん(プロフ) - 新しい話更新されていて急いで読みました！蠍さんの作品は全て綺麗な言葉で書かれておりどれも飽きません。完全に蠍さんのファンです笑これからもゆっくり更新待ってます！ (2019年9月16日 3時) (レス) id: a8f8fce798 (このIDを非表示/違反報告)
蠍(プロフ) - 佳奈さん» ありがとうございます！とっっっても励みになります！！ (2019年9月16日 1時) (レス) id: 19b4bd13c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蠍
| 作成日時：2019年6月27日 12時
