何たって今日は… ページ1
ラン「…雪、…初雪、初雪起きて」
静かだった部屋に少女の声が響き渡った
ラン「初雪、初雪‼︎」
段々と大きくなる声に耐えきれず少年は目を覚ます
まだ目が覚めきっていない少年は目を擦りながら口を開いた
初雪「何だよラン、そんなに慌てて」
ラン「初雪起きて、もうこんな時間だよ」
初雪「何だよ…まだ朝…」
初雪『げ』
ランが差し出した目覚まし時計を見て、初雪は奇声を上げた
ラン「初雪は、進学してもお寝坊さんだなぁ」
初雪「ランだって結局は寝過ごしたんだろ？この時間帯に起こしたってことは」
図星だったランは顔を紅くして言った
ラン「し、しょうがないじゃない‼︎昨夜は初雪のために皆…」
初雪「皆ってなんだよ？」
ランの皆という言葉に疑問を感じて聞き返してみたが、ランは慌てた様子で話を変えてきた
ラン「ううん、ってやばいよやばいよ‼︎今日だけはやばいよ‼︎」
⁇『やばいやばい』
初雪「そうだな、何たって今日は…」
⁇『なんたって今日は？』
初雪/ラン/⁇『入学式‼︎』
俺とランは二人声を合わせて言った
初雪「い、いってきますっ」
ラン「うん‼︎」
ランに見送られ玄関へと走り出す
初雪「ふう、急がないと」
⁇『行ってらっしゃい』
初雪「…⁇い、行ってきます…」
誰かの声が聞こえたような気がして、何と無く誰もいない玄関に答えた
初雪「って、やべぇ、走らないと」
ータッタッタッタッタッー
初雪「はぁ、はぁ……」
⁇『走れ、走れ』
目的地へと一定のリズムで走る
初雪「はぁ、はぁ……っ」
初日からやってしまった
昨夜。恥ずかしながら緊張して眠れなかったので、ラン相手にいろいろしゃべっている内に、0時を遥かに越えて話続けてしまった
結果ランのやつまで寝過ごして
時計をみればなんと1時間の遅刻だ
初雪「やばい‼︎」
⁇『急げ急げ』
初雪「やばい」
⁇『でも車には気をつけて、急げ急げ』
初雪「あぁ、やべぇ」
⁇『ハンカチ持った?チリ紙は?』
初雪「持った持った」
何に反応したのかは分からないがとにかく走る
⁇『もたもたするな〜♪』
⁇『いえい』
目的地の白咲学園が見えてきた
初雪「………気のせいか」
さっきまで誰かに話し掛けられながら来たような気がしたが気のせいだろう
⁇『入学おめでとう』
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作者名：XENOM | 作成日時：2014年9月10日 22時
