【Free!】林檎【山崎宗介】Part3

第97話 ページ17

ー優姫sideー

ブブッ、ブブッ

メール？こんな夜遅くに…

「……七菜香？」

何でまた…

カチッ

『これ、AとAのお兄さん』

その文の下に写真が載っていた

「は…っ？！」

一人なのに、思わず声を上げてしまった

それくらい驚いた

だって、キス…してるよね？

合成写真…じゃあない

なんで？

宗介さんが浮気…？

いやでも、普通妹とは浮気しないでしょ…

……私にはキスしてくれなかったのに……

「分かんないよ…」

宗介さんは、本当に私のこと好き？

だってあり得ないよ

急に告白してきた奴のこと好きになってOKするだなんて…

付き合っていけば好きになるって言ったけど、ただのお遊びなんでしょ

……A、宗介さんの事を好きになったから橘先輩と別れたの？

何かがおかしいはずなのに、私はそれに気付けないの…

ーAsideー

「リンゴ、食うか？」

「…………うん」

スーパーの袋からそう言って取り出す

わざわざ買いに行ってきてくれたのかな

シャリ…ッ

この林檎が、毒林檎だったらどうする？

ふと、自分に問う

そしたら私、キスで起こしてもらわないといけないじゃない？

兄さん、してくれる？

悲しんでくれる？

……そんな事、あるわけないけどね

兄さんだけでいいの、悲しんでくれる人は

勿論、他の人も悲しんでくれるなら嬉しい

兄さんにだけは見離されたくない

好きな人に好きになって貰ってこそ本望だよ

ー宗介sideー

「恋って、何色だと思う？」

ふと口に出した言葉

Aは唖然としていた

まあ、気持ち悪いよな

男が急に語り始めるなんて…

「透明、かな」

どこか遠くを見つめながら言うA

その声ははっきりしていて、何故か耳に残る

「見えないけど触れて、それに色が混じるの。黒だったら暗い恋になって明るい色だったら綺麗な恋になるはず」

「……そうか」

「どんな色の恋があったって良いでしょ」

目を擦って俺に笑いかける

だけどすぐに右目から涙が零れ落ちてきた

もう、お前のそんな顔を見たくない

心から笑えるように、してやりたい

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