第245話 月 ページ7
楓side
写真撮影も終わり、立ち上がる。
『さて…次がほんとのほんとに最後です…』
そう言うと、えぇーーっという声が上がる。
奏「だから!お前ら絶対悔い残すんじゃねぇよ!」
奏がそう煽ると、負けじと歓声が返ってくる。
『全員で歌います。夏にぴったりな曲です』
「「「「Fire◎Flower!」」」」
皆でそう叫ぶと、割れんばかりの歓声が上がった。
9「「最初から君を好きでいられて良かった」なんて 空に歌うんだ────」
皆にマイクを向け、間奏部分を歌ってもらう。
来てくれた、1人1人に目を合わせていく位のつもりで。
これがきっと、最後だから。
全力で手を振って、全力で歌って。
絶対悔いを残さないように。
『Like a Fire Flower いつか 夜空に大輪を咲かすその時まで待ってくれ』
奏「「最初から君を好きでいられて良かった」なんて 空に歌うんだ」
きっとカラフルに光っているペンライト。
会場は、まるで星の海だった。
……あぁ、ずっとずっと、私が追い求めてきたのは。
こんなに、綺麗な景色だったんだ。
色が見えなくても、ここには沢山の“色”が溢れていたから。
『─────ありがとう、』
こんな景色を見させてくれて。
マイクも通さず、誰にも聞こえないようにそっと呟いた。
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作者名:月見だんご 赤メガネ x他2人 | 作成日時:2018年1月10日 3時