ねぼすけの君に (ページ3)

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ねえ、3 ページ3

(your side)

なにかきっかけがあれば。
そうは言いましたが、神様。

これはあまりにも、急すぎるというものではないでしょうか。

「知り合いづたいで聞いてくれって頼まれたんだけどさ、A、あの東大王様からお誘いきてるよ！」

友人からそんなメッセージが送られてきた、23時。
なんの！？とびっくりしてしまい、そんな驚きを隠せず、なんの！？とすぐに返信してしまった。

「なんか詳しいことは知らないけど、どうやらAに会いたいだのなんだの！」

会いたい？私に？彼が？
情報量が多すぎて、というよりも、この状況が奇跡すぎて頭の中がパニックになっていた。
まともな返事を返すこともできず、既読をつけたままベッドの上で唸っていた。

「結局、どうすんの！？会うの？会わないの？」

催促のメッセージが来て、やっとまともに考え始める体制に入った。
今更になって会うだなんて、私はそんな安い女じゃないのよ。
なんて、そんなことが言える強気な女性だったら私は今も数年前の恋を引きずっていたりしないのだ。

『会う。』

一言だけ返事をして、その日は寝ることにした。

けれども、素直に眠れるはずもなく、遅くまでQuizKnockの動画を見漁っては、なんで、という疑問から悩みに悩み、結局朝までうまく眠れなかった。

翌日、友人からまた詳しい日時が知らされた。

私は不眠症になってしまうんじゃないか、というほど落ち着きを欠いていた。
もう何年も面と向かって話していないのだから接し方なんて忘れてしまった。
彼氏なんていたことがないのだから、どうすれば魅力的な女性になれるのかもわからなかった。

そもそも、わざわざ私に会って何を話すのだろうか。
数年越しに呼び出して、まさか、あの頃の返事を、なんて思ってみたりもしたがそんなロマンチックなこと現実にはありえない。

ならばなぜわざわざ呼び出して？
ぐるぐるぐるぐる回る思考を止めることもできず、約束の時間と場所を間違えないように何度も何度も確認した。

日曜日、本郷キャンパスの近くのカフェに11時。

どんな服を着ていこう、どんな髪型にしていこう、1人だけ気合を入れてるなんて思われたくない。
ほどほどにしていこう。

デートに誘われたわけでもないのに、私の心はデート気分だった。
どうしようもなく浮かれてしまっていた。
わからないことが多すぎて、でもきっと悪い話ではない、ということを期待して。

話の内容は見当もつかないまま、私はその日を迎えることになった。