ねぼすけの君に (ページ2)

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ねえ、2 ページ2

(izw side)

ふと、口に出してしまった。

「女の子とか、どうかな。」

何を思ってこれを発言したのかわからない。
ただ、頭の中に浮かんだのは同い年でも秀でて頭が良かったあの子だった。
俺がずっと、告白の返事をしないままでいるあの子。

とっさに口に出してしまった提案を取り繕うように得意のハッタリをかます。

「ほら、動画に女の子が出てくることって少ないし、女の子がいた方が華があるっていうか、それに女の子目線の話も聞ける。新しいアイデア、浮かぶんじゃないかな。」

少し苦しい言い訳だったかもしれない。
いつものように上手く舌が回らなくて。
川上とかにツッコまれたら終わりだ。

「はい！お兄さんは賛成です！華があった方がいいと思いまーす！」
「女性もライターばっかりだしね、僕はいいと思う。」
「女の人目線で企画とか考えられたら面白そうですよね。」
「動画に女の人が出るようになったら新しい層の視聴者さんとかも増えそうですし。」
「みんながそう言うなら、俺も賛成です。」
「僕も賛成かな。」

思っていたよりもみんな次々と賛成してくれて驚いてしまった。
なんだかあっさり進みすぎているような気もする。
案外みんな女性の出演を望んでいたということだろうか。

「ていうか、随分いきなりだったけど、伊沢、目星ついてるの？」
「え？」
「いや、急に言いだすくらいだから、誰を誘うとか目星はついてるんだろうなって思って。」

ふくらさんのいきなりの質問に俺は固まってしまった。
それはそうだ、ポッと出の提案で女性のメンバーを増やそうなんて普通は言わない。
ただ、今回は口からポッと出で出てしまったのだ。

目星。あるといえばあるが、ないといえばない。
ここまできたらない、なんて言ってはいけないような雰囲気になってしまった。

「まあ、一応ですけどね。」

いや、あまりにも一応すぎないか。
一応にしてはオッケーをもらえる確証もなければ、話しかけ方もわからなかった。

もう何年も話していない。

Aちゃんは今、何をしているんだろう。

なんて、呑気なことを考えている場合ではなかった。
連絡先、と思ってスマホを出してみるが、数年前のものだ。
変わっているかもしれない。

友人の友人でAちゃんと同じ研究室の人がいたはずだ。
まずはその人に連絡して、直接、会うしかない。

ポッと出の提案なんて口から漏らすもんじゃない、そう思った。

その反面なぜか楽しみに感じている自分もいた、かもしれない。