初恋の君が知っている２-*探偵チームKZ事件ノート*-

14-B ページ20

・ 観客 side



　「じゃーいきまーす。3､2､1､アクション！」



・



　『福原っ！！！』



　肌寒い川の堤防。


　ふと響いた自身の名を呼ぶ声に、
　制服姿の少女が振り返る。



　「采桐、くん…。」


　『佳音。』


　「っ…。…どうして。」


　『佳音、俺と付き合って。』



　ギュッと抱きしめられた佳音の耳元で、

　消えそうに儚い和真の声が届く。



　「采桐くん…。」


　『福原が、俺を信用してないのも知っ…
　「違うよ。」』



　話を遮った佳音は、
　パッと和真の腕から抜け出した。



　「違うよ。違うの。


　どうして………




　遠くへ行くの…？」



　『え…。』


　「吉里さんから聞いた。

　引っ越すんでしょ…？」


　『…ああ。』


　「私…、」



　俯いていた彼女の瞳が、彼を映し出す。



　「やっと………


　好きになったのに…っ。」


　『…！』


　「初めはこんな強引な人嫌だった。

　けど、段々嫌じゃなくなっていって。


　これが恋だと知ったのは、今日、
　吉里さんに貴方のことを聞いたとき。」



　彼が彼女の後頭部を

　自分の胸へと押しつけた。



　「采桐くん…っ、

　和真くん、好き………っ。」







　抱きしめる力が強くなった。



・

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