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私はただ口を結んだ。あの異端にご主人様を奪ってほしくはなかった。ただ、あの異端は、あの子はきっと私と同じだった。優しさをくれたあの人にすがりついただけだった。そんな子から私は光を奪った。
悔しくて、非力で、申し訳なくて、色んな感情が入り混じって視界が滲む。今度は堪えきれず、涙は瞳から零れた。ああ、生きるって身勝手だ。生きるって強欲だ。
ルシファー様はその様子を見て、そっと抱きしめてくれた。
「君も優しい子だね。誰かのために泣けるのは、君が優しい証拠だ」
子供をあやすように、ルシファー様は呟いた。
「忘れないでね。その優しさを。忘れたら、二度と戻れなくなるから」
ルシファー様の掠れた優しい声が、やけに耳に残っていた。
多分私は、私のことが大嫌いだ。
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