第25話 軍医 リオット ページ24
「全く、また無茶をしたのだね!? しかも、それだけに飽き足らずその怪我で戦争に行こうとしてたのか!?
君達は相手を馬鹿にしすぎだ!
いくら小国なれど油断は禁物。軍に所属する人間は、何時でも危険と隣り合わせなのだよ。
もっと自分を大事にしなさい!」
ペチン、と素肌とシルク布で包まれた肌が当たる音と「痛っで!?」と小さく呻く若い男の声が廊下に少しだけ漏れる。
能力を使いながら半ば無理矢理治療をした兵士の膝を軽く引っぱたき、床から膝を離して立ち上がった。
毎度毎度皆無茶するし、その度に涙が零れそうになる。
でもこんな所で弱音なんて吐いてらんないわけだし、とぐっと力を入れて涙を引っこめる。
「次は絶対医務室に来たまえよ、自分の足で!!」とこれもまた毎度の事のように忠告を入れつつ訓練待機室を出て、一度薬品補充のために医務室に戻ろうと足を向けた。
ほかに無茶してそうなやつは、と脳内でブラックリストをパラパラと捲る。
しかしあまりの多さに一度頭を抱え、最終的に至った結論は……
「……よし、今回の件が終わったら全員医務室に強制連行しよう」
あまりの多さと先程のほぼ真反対からの重い取り扱い注意物を抱えて走ったという事もあり、リオットもなんだかんだ言ってかなり疲労が溜まっていたのである。
もういいや、さっさと医務室に帰って薬品補充だ。
死んだような目で足早に医務室へと向かっていたリオットは、医務室付近で連行されていく外交官殿を見つけた。
あー、また連行されたのか。
と苦笑いを浮かべつつ、アリベルを助けるために後を追う。
扉を開けて中に入れば、ズルズルと引き摺られていくちょっと悔しげな顔のハクロくんと目の笑ってない笑みを浮かべたアリベルくんが少し大きめの声で言い合っていた。
「だぁかぁらぁ! まだやりたい事があるんだって! この拘束解いて! 離せアリベル君!!」
「何言ってんの離すわけないでしょ!
またハクロさんってば無茶して!
リオさん帰ってきたら覚悟しといてよ……ってリオさん! いい所に!」
「げっ軍医揃っちゃった! くそ……余計逃げられなくなった……ッ!」
「ふふ、ただいま。全く、ウチの外交官殿はお転婆さんだなあ。
仕方ないから、君の望む最短治療をして差し上げようじゃないか」
そう言って取り出したのは、銀色の複雑な飾りが入り組む1本の鍵だった。
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桜吹雪@低浮上(プロフ) - 更新しました! (2021年9月4日 14時) (レス) id: 52e526ba44 (このIDを非表示/違反報告)
桜吹雪@低浮上(プロフ) - すみません!書き直しますので更新します! (2021年9月4日 14時) (レス) id: 52e526ba44 (このIDを非表示/違反報告)
桜吹雪@自作小説低更新(プロフ) - 書くの忘れてました!すみません!更新しました! (2020年10月9日 18時) (レス) id: aafc5aee29 (このIDを非表示/違反報告)
桜吹雪@自作小説低更新(プロフ) - 更新します! (2020年10月6日 19時) (レス) id: c919c9fb7a (このIDを非表示/違反報告)
するふぁ@givehappiness(プロフ) - 更新しました (2020年3月3日 16時) (レス) id: 07edb2e3d3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:グラーヴ連邦同志一同 x他4人 | 作者ホームページ:http
作成日時:2020年1月8日 20時