12 未知の ページ14
赤「な、なに!?」
そう思って周りを見ると、そこかしこから「肺炎だ」と騒ぐ一般細胞たちが、わらわらと逃げ惑う姿が見える。
それにともなって、以前見かけた肺炎球菌やブドウ球菌たちが、一般細胞を次から次へと襲っては、駆け付けた白血球たちに次々倒されていった。
「白血球が来たぞ!」
「うわあブドウ球菌がこんなところに!」
あちらこちらで様々な声があがり、もみあいになった細胞の間を通り抜け、ようやく大きな場所へ出てきて一呼吸置く。
見晴らしのいい展望台のあるこの丘は、今の状況を一目見て確認するにはもってこいの場所だった。
赤「見たことない細菌までいる…」
暴れまわる二種類の細菌とは別にもう一体、新しく見る細菌に、不安を覚える。
白血球たちは必死に攻防を続けているが、合併症の発生でもしたのか、いささか相手の細菌の数が多すぎることが気がかりになった。
赤「大丈夫かな…もし負けちゃったら…」
そう考えて、ぶるりと悪寒が背筋に走る。きっと白血球さんたちならやってくれる。
そう信じてはいるものの、やはり、数の暴力というものには抗えない節があるもので。
もう少し近くに行って様子をうかがおうと、振り返ったその瞬間、首元に刃物を突き立てられる感覚がした。いや、突きつけられたのだ。
赤「ひ、」
息をのむ間もない。
目の端に見えた、新種とおぼしき塊が、こちら目掛けてその刃を突き立てようと腕をひく。
一瞬のうちに、私の足元には、生あたたかな血しぶきがしたたり落ちていた。
37人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まみむのめ(プロフ) - 結(むすび)さん» はじめまして!コメントありがとうございます!結構時間をかけて作ったものなので、そう言って頂けてありがたいです! (2021年6月5日 1時) (レス) id: 7de2b213c2 (このIDを非表示/違反報告)
結(むすび)(プロフ) - コメント失礼します、、!最後まで読ませていただきました。作者さんの文章の書き方も設定を細かく考えている所も、キャラとの関係性も、主人公ちゃんのイラスト等も、何もかも素晴らしかったです!素敵な作品をありがとうございます、、 (2021年5月18日 18時) (レス) id: 0ce8940541 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:まみむのめ | 作成日時:2021年3月5日 16時