縺?≠縺?≠縺ｯ縺吶◆縺 ページ2
目を開ければ闇だった。
一寸の光も見えない、真っ暗な空間に、立っているのか浮いているのか。それすらも判別がつかない。
試しに腕を広げて探るように動かすが、悲しいかな両腕は空を掻くばかりである。
ここは一体どこなのか。何も見えず、何も聞こえず、己しかいないであろう空間に、少しずつ不安が募る。とにかく歩いてみよう、と足を一歩踏み出す。
踏み出せない。いや、確かに踏み出そうと足を動かそうとした。だが動かない。
その場に張り付いているかのように己の足はピクリとも動かなかった。足元を見てみても、明かりもないため自身の身体すら見ることが出来ない。
さて困ったぞ、とため息をついて顔を上げた。
目が合った。真っ赤な目だ。それも、一つではない。いくつも目が、彼を、ナワーブを見ていた。
ひゅう、と息を呑む。得体の知れない目がゆっくりと、しかし確実に迫ってくる。目を閉じようにも固定されたかのように動かない。瞬きすらも出来なかった。
ぞぶ、
ビクリと身体が跳ねる。顔が、何かに埋まった。不思議と息苦しくはない。
何なんだ、と思ったのは一瞬の出来事だった。
「……っ！？」
何かが頭の中に入ってくる。いや、違う、脳だ。脳の中に、何かいる、入ってくる。
ゆっくりと、ナイフで脳を少しずつ切り落としてくるような、異様な感覚。
「っは、ひゅ、……っぁ、ぎ…！」
身体の痙攣が止まらない。自分の中に誰かが入ってくる。無遠慮に己の中を蹂躙し、掻き回す。
自分が自分ではなくなるかのような……、
嫌だいやだいやだいやだいやだいやだ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だいやだ嫌だいやだ嫌だ嫌だ嫌だ助けてたすけてたすけてたすけてたすけて助けて助けて助けて助けて助けてたすけて誰か、お願い、たすけ
「……ふむ。やはり前世の記憶があるか。すんなりと上手くいったな」
なあ、
いくつもの真っ赤な目が、にんまりと弧を描いた。
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作者名：百日草 | 作成日時：2020年10月12日 19時
