4 ページ4
.
「なあ、Aさんって彼氏とかおるん？」
またまた部活の休憩中。前と同じように隣で涼んでいた角名に問いかけた。
「なに、Aのこと気になる？」
角名は楽しそうに、にやにや見つめてくる。いつもやったら鬱陶しいけど、今日はそれどころやなかった。
「......まあ、気になっとる」
「え、今日素直だね」
「せやから！はよ教えてや！」
「......いないよ。あいつ鈍感だし」
少しほっとした。良かった、おらんのやったら俺にもチャンスある。
「......俺、がんばるわ」
「え、まじ？」
「よし、やったんでー！」
「侑はほんと考えなしだよね」
「角名！協力頼むで！」
「......えー」
休憩時間も終わりが迫っていた。角名は「絶対めんどいことに巻き込まれた...」なんて呟きながら、体育館へ入っていった。
その日の部活は、いつも以上に張り切っとった。
しかし、夜。
いつも通り寮へ帰って、飯食って、風呂入って、ベッド入って寝ようとしたとき、初めて冷静になって考えた。
俺は何をしたらAさんと付き合えるんや...？
今まで付き合った子は、みんな向こうからアプローチしてくれて、俺も気になって、みたいな流れやった。
どうやって仲良くなればいいん？友だちじゃなくて、彼女になってほしい子の近づき方ってどんなん？こんなんって好意出しすぎたら引かれてまうよな？
まっっっっっっっっっっっじでわからへん。
よし、明日角名に聞こう。あいつAさんの大親友らしいしな。
そのまま俺は眠りについた。
「角名！おはよう！」
「......朝から元気すぎ」
「角名に聞きたいこといっぱいあるんや！」
朝練前、シューズの紐を結んでいた角名を捕まえる。朝一の角名の機嫌は悪すぎるけど、そんなん気にしてられへん。一大事やねんもん。
「どやったらAさんと仲良くなれんの？！」
角名は機嫌の悪さを露骨に出していた顔を、さらに歪める。朝からそんな疲れた顔せんでもええやん。
「知らないし。いっぱい話しかけてみたら？」
「めんどくさいって思われてもうたら嫌やん...」
「それがめんどくさい」
「大親友なんやろ？お願いやんか〜」
角名は大きくため息をついて、立ち上がった。
「わかった。協力するよ」
「え！ほんまに？！せやったら、」
「文句とか絶対言うなよ。あと調子にも乗んないで」
「わかりました！角名さん！」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 10人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：いおり | 作成日時：2021年10月15日 8時
