【コラボ】傷が語る過去【歌い手】 (ページ28)

今日:10 hit、昨日:39 hit、合計:9,204 hit

今は～女主視点～ページ28

「ナノ、携帯なってる」

歌詞君がそう言えば皆の視線が一気にナノ君に向く
そして少しの沈黙…

「――意味わかんねぇ」
ナノ君がいつもと違う口調で大きく舌打ちした

そして携帯を皆に見せる
私も96先輩と一緒に渡された携帯の文に目を走らせる

「戻らないって…」
「どういうことだよ」
「柚子ちゃん…自分を責めないように、だってよ」
『……はぃ』
俯いて小さく返事をする

自分を責めるな…？
そんなことわかってる
空君がそう思ってるのはわかってた

でも…

私が悪かったって

空君が何処かへ行ったのは私のせいだって

思ってしまうじゃないか

いくら自分を騙したって、皆が否定してくれたって

心の隅には残ってしまうじゃないか

―――ならば

この思いを忘れずに持っていよう

そうすれば…空君に――

――逢えるような気がする

「―――とりあえず、今日は解散」

そらるさんの声にナノ君とらむ先輩が声を上げる

「は？何言ってんだよ」
「まだ何もわかってないじゃんかっ」
「先輩…」

『い、いいんじゃないでしょうかっ？』
私がそう言った瞬間痛いほどに睨まれる

『もう、夜遅いですし…今無茶苦茶に何かするより…今日はもう休んで明日から…』
あぁぁぁっもう何が言いたいんだか…

「――そのとおり…まぁ、なんとなく理由はわかってる」
「空が出て行ったこと？」
「ああ。」
そらるさんを見る限り何か気付いているようだ

「…わかった、」

ナノ君の返事を最後に皆が生徒会室を出て寮に戻って行く

「で、休もうと言った張本人がどうして残る？」
生徒会室には私とそらるさんだけ

痛いとこついてくるなぁこの人…
でもここで負けたら…

『…何か知ってらっしゃるんですよね』

私の問いかけに少し間を置いてから

「知ってる、というより…気付いた、かな？」
そう言って資料の束の一部を指差した

『なるほど…』
「もういい？」

『はい！ありがとうございました！』
そういうことか…

まだ何か裏がありそうで怖いけど
今は…