【コラボ】傷が語る過去【歌い手】 (ページ27)

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みつけてごらん～男主視点～ページ27

プルルルルル。
もう何度目かわからない着信。
画面を見ればナノの文字。

『もうバレたのかーま、ブレーカは気付いた…かな？』

今だになっている携帯を無理やり切って走る。
学校から遠く。

今頃そらる先輩は…怒ってたりして！
んでーナノはイラついてるかーすっごい心配してるか
らむ先輩はーそらる先輩に事情を話してたり？

ま、いいんだけどさ。

『自由って素晴らしいー！』

夜の街に自分の声だけが響く。
柚子は…部屋戻ったよね。
ごめんねみんな

『まふくんにも仕事任せちゃったな』

罪悪感でいっぱいになった心を振り払う。

『おっとメールすか』

一通はナノからだろうから読まない。
もう一通の方を読む。

『ふ～ん、公園ね』

ここから一番近い公園へ歩を進める。
一応鍵は持ってきたからいつでも学校潜入ＯＫ
いや～アメリカからわざわざ来てくれるんだもんな～

『早く行こうっと！』

不思議なことに俺の気持ちはなぜか晴れ晴れしていた。
公園の前に着き携帯を取り出す。

『えーっと…』

―俺、学校戻らないから
それと柚子に自分責めないように言っといてね―

『送信っと！』

送り主はナノで大丈夫なはずだ。

「本当に抜けるとはね～」

おや、来てたか。

『いや、簡単簡単！ブレーカー落とせばこっちのもんだから』

後ろを振り返り笑ってみせる。

「んで？調べて欲しいっていう奴は？」
『んとね黒川ってやつ』

写真と資料集から抜き取った資料を見せる。
そらる先輩のことだから抜き取ったのもすぐわかるだろうな～

「んじゃ、隠れますか」

ま、見つかんなきゃいいんだけど。

こうして長く、不安な夜は朝を迎えた。

『見つけてごらん』

挑発気味に言った言葉は太陽と雲が輝いている空へと消えていった―…