【コラボ】傷が語る過去【歌い手】 (ページ26)

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何処に？～女主視点～ページ26

『え、空君！？』
あろうことか空君は手すりから手を放し

―――見えなくなった

え、ちょ…？

『お、落ち！？』
混乱する頭の中で、ただ大丈夫なのかと思い
ベランダに駆け寄る

だが、生憎下は暗くてよく見えない

なんとなく話し声が聞こえるだけで他にはなにも聞こえないし見えない

『空、君…？』
ここで彼の名を呼んでもどうにもならない

部屋に…行こう
正直気は進まないが

――――――
――――

ガチャ…と静かに扉を開ける

「柚子ちゃん？仕事は？」
『あ、え…っと』
入って早々天月さんにそう聞かれた

なんて言えばいいのかな
いやいや説明なんて無理でしょ…

私が黙っていると察してくれたのか、立ち上がって部屋を出て行こうとする
でも、その前に

「空知らない？」
『そ、れが…』
ここは全て話した方がいいのか…？

それがいい…よね
そう思い、さっきのことを全て話す

と、天月さんは突然部屋から飛び出して行った
私も着いて行こうとしたが誰かに腕を引かれてできなかった

『だ、誰！？』
そう言って振り向くと、

「柚子ちゃん…」
『らむ、先輩…』
焦った顔をしたらむ先輩がいた

「柚子ちゃん、さっき空が」
『飛び降りたんですよね！？大丈夫でしたか？怪我とか…』
「大丈夫みたいだった…ただ、その後何処かへ行ってしまって」

話を聞くと、空君が着地したすぐ近くがらむ先輩の部屋だったようで
部屋に戻そうと思ったが何故か逃げられた…そうだ

『に、逃げたって…』
「探してみたんだが何処にもいないんだ」
『―っ！？そ、それって…』
「とにかく生徒会室に行こう」

らむ先輩と静かな廊下を走る

そしてガタンッと大きな音をたてて扉を開ける
そらるさんはそのことを怒らなかったが天月さんが話したのだろう、
とても低い声で問いかけてきた

「空は何処へ行った」
「わからないんだ…探したけど、何処にもいなくて…」

一気に部屋の温度が下がるような気がした
否、下がった

「っ空！」
ナノ君が机をダンッと叩いて携帯を取り出す

どうしよう
どうして空君は…どうして…
私のせい？
私のせいで…？

『っ…しゃむ先輩、96せんぱ…っ』
俯いていた私の肩を2人が優しくたたいてくれた

だけど、今はその温もりに触れている余裕などなかった