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「おはようございま……先生?」

「あ、Aちゃん、おはよう。」

「まさか、昨日からずっと書いてたんですか?」

「え?…ああ、うん。」



翌朝研究所に行くと、如恵留先生は昨日私が退勤した時と全く同じようにデスクについていた。


それも、ひどい顔色で。



「けほっ…でもちょっとは寝たから。」

「ちょっとって…まさか30分とか1時間とか言いませんよね。」



如恵留先生は私の言葉にわかりやすく「ギク」とうろたえると、今度は無理やり笑った。



「大丈夫!そうだ、Aちゃん一緒に朝ごはん…」



そう言ってふらふら立ち上がる。


私は椅子に戻そうと思って、如恵留先生に近づいた。


その時だった。



「…っ如恵留先生!」



ふらつく動きが一瞬大きくなって、そのまま前に倒れる。


間一髪で如恵留先生を受け止めて、そのまま床に倒れこんでしまった。



「如恵留先生!?」

「げほ…っごほ、」



私の体に体重を預ける如恵留先生の顔からは、さっきの笑顔なんて消えてる。


近づいてわかる、ゼーゼーという息の音。


ついに出てしまった、発作だ。



「如恵留先生、失礼します。」



吸入薬の場所は知ってる。


如恵留先生の白衣のポケットから迷いなくそれを取り出して、口にくわえさせる。


でももう苦しくてたまらないのか口が開かなくて、全然うまくいかない。


早く、早く薬を入れないと。


徐々に細くなる如恵留先生の息と、あたふたするだけの私。


どうしよう、どうしたらいいの。


涙が出てきて怖くなって、パニックになった。



「のえる、せんせ…!」

「…お任せください。」



ふと後ろから聞こえた声。


この声は…



「まちゅ…」



振り返ると、我らがロボットまちゅが、真剣な顔つきでそこに立っていた。



「薬を貸してください。」



隣の実験室から起きてきたんだろうか。


私から吸入薬を受け取ると、私が苦労していた動作を難なくこなした。



「如恵留さん、僕が言うタイミングで息を吐いて吸ってください。…吐いて、……吸って。」



まるで魔法をかけたみたいに、如恵留先生がスムーズに吸入する。

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ユルピころん - 麦茶さん» 了解です!リクエスト再開まで待ってますね! (2023年1月5日 23時) (レス) id: 05904f8bd6 (このIDを非表示/違反報告)
麦茶(プロフ) - ユルピころんさん» いつもありがとうございます!半年くらいお待たせしてしまってすみません😭リクエストなのですが、誠に勝手ながらただ今停止中なので、また再開した際にお受け出来ればと思います。またその時はお知らせ致しますのでよろしくお願いします🙇‍♀️ (2023年1月5日 23時) (レス) id: 8051f4f5a3 (このIDを非表示/違反報告)
ユルピころん - お話読みました!とても感動しました!またリクエストさせていただきますね! (2023年1月5日 23時) (レス) @page43 id: 05904f8bd6 (このIDを非表示/違反報告)
麦茶(プロフ) - ユルピころんさん» ユルピころんさん、いつもありがとうございます‪‪☺︎‬お時間頂くかもしれませんが、書きますね〜! (2022年7月6日 21時) (レス) id: 0801fa33aa (このIDを非表示/違反報告)
ユルピころん - 続き↓女の子は泣いてしまい、如恵留や医療ロボットが励ましてくれてホッとするお話が見たいです!医療ロボットはトラジャメンバーの誰かを麦茶さんが選んで欲しいです! (2022年7月3日 22時) (レス) id: 05904f8bd6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:麦茶 | 作成日時:2022年6月16日 10時

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