眩しい、優しい ページ5
「まあまあ、見ててよ！ どんなお家がいい？」
「え？──あー、暖かい家、が良いかな」
了解！と返事をしたアドレーヌは、少し指でサイズを測った後大きく頷いた。
春風がぶわっと、私を押し上げるように吹いた。連動するように、アドレーヌが大きく筆を振りかぶって、目にも留まらぬ速さでキャンバスに叩きつける。
鮮やかな赤色がキャンバス一面に広がって、あまりの強烈さに息を呑む。
「よーし、行くよ」
言った途端に、まるで魔法かのように家がどんどん描き上げられていく。非現実的な光景であるのに、これは紛れもなき現実なのだと目に映る映像が物語る。この世界に体の中までも荒く塗り潰されていくような感覚に陥った。思わず胸を押さえた。
「よーし、こんな感じで良いかな？ 可愛い感じになったと思うんだけど！」
ぼーっと時間の経過に身を任せていると、そのはきはきとした明るい声に意識を引き戻された。へへ、と少し得意げにして佇むアドレーヌの隣には、まるでおとぎ話の世界のような赤いレンガの屋根が目立つ、優しい色の家。
「──え？ な、んで急に家が……？」
「これこそアドレーヌの特技！ 彼女は自分で描いた絵を具現化させる事ができるんだ」
「え……えぇ⁉」
「耐水性の絵の具で描いたし、フィキサチーフもちゃんとかけてあるから、雨が降っても溶ける心配はないよ！」
ぽかん、と自分でもわかるくらいには間抜けた顔をしていたと思う。それを見たカービィが、弾けるように笑った。細められた瞳が太陽の光で照らされる。眩しいと思った。
「Aちゃんって、本当に表情が豊かで面白いね！」
「え？」
「この星の事を知った時の反応は、Aちゃんが一番だよ」
にこやかに笑って私に話しかける彼は、そう言えど誰よりも魅力的な表情をする。私の表情なんて、比べ物にもならないくらい。
「えーっと……それで、さ」
「どうしたの？」
「何も考えずにやっちゃったから……お家の場所とか、まずいんじゃないかな」
ここは丘だ。立地的には美しい景観が臨めると思うが、いささか高度が高いので心理的には少し削がれる一面もあるだろう。実際、この下の風景をちらりと見て後ずさった。難色を示すのは申し訳ない気もするが、住居に関して妥協はし難いのもまた事実だ。
「うーん……それだったら、紹介ついでに頼める人を当たってみるよ！ありがとうアドレーヌ、きにしないで！」
そう言っていつ現れたのか彼は何か星に飛び乗り、私に手を伸ばしてきた。
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Taruru(プロフ) - アルキメデスさん» コメントありがとうございます！凄くびっくりしました。私も好きな人の小説に影響されて作った動機があるので、自分がそちら側になるとは思わずびっくりしつつもとても嬉しいです！！このご時世で息苦しさを感じる事もあると思いますが、お体ご自愛くださいね。 (2021年4月1日 2時) (
レス) id: d7dc74b70c (このIDを非表示/違反報告)
Taruru(プロフ) - THINKURU★さん» コメントありがとうございます！私の小説は好きだと思った表現を継ぎ接ぎでくっつけているだけなので、あまり参考にはならないかと……応援の言葉励みになります、ありがとうございます！ (2021年4月1日 2時) (レス) id: d7dc74b70c (このIDを非表示/違反報告)
Taruru(プロフ) - 柏木信子さん» 返信が遅くなり本当に申し訳ありません…。ありがとうございます！時間をかけて作っているものなので、とても励みになります。 (2021年4月1日 2時) (レス) id: d7dc74b70c (このIDを非表示/違反報告)
アルキメデス - taruruさんの小説、毎回読ませて貰ってます…!私、taruruさんをきっかけに小説を書き始めたのです…!やっぱりtaruruさんの作品は素晴らしいものばかりですね…!これからの季節、コロナも含めた体調不良にお気をつけながら更新頑張って下さい!長文失礼しました…! (2021年3月29日 8時) (レス) id: 6d5eb1e246 (このIDを非表示/違反報告)
THINKURU★(プロフ) - …taruruさんの作品毎回楽しく読ませていただいてます！質問なんですが…どうしたらそんなに上手いこと情景描写出来るんですかァァァァァァ！ (2020年4月15日 1時) (レス) id: 258f8cb9be (このIDを非表示/違反報告)
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