Flower Garden８

ケンカのあとには２ ページ31

｢皆ごめん〜ありがと！！｣






｢ううん！なんか私みたいな失敗だ。珍しいね〜！｣

と晴美が皆の笑いを誘った。








それから

仕事を終え


｢…夏恋ちゃん帰ろっかー！｣

といつも通りスダンナが夏恋の元へやってきた。




しかし
スダンナの笑顔が引きつっていた事に
すぐ気付いていた。





どことなくギクシャクした帰り道



何も言ってこないスダンナに
夏恋は苛立ちを隠せなかった。





『言いたいことがあるなら言えばいいのに』




必死に笑顔を作って話し掛けてくれる

その優しさを

このころの夏恋には

理解出来るだけの器が無かったんだ。









｢夏恋ちゃん…
ほんとに今日はご飯食べていかないの？｣



｢うん。今日は帰る…｣



｢…わかった。じゃ、帰ろうか！｣



と、マンションまで送ってもらった。




ずっと顔色を伺うスダンナに
気付かないふりをして。




だけど
マンションのエントランスに
ついた時…



｢あ、あの…なんか大丈夫…？｣



｢………なにが？｣



｢あ、いやっ、、別にっ！
じゃ、お疲れ様！！｣





機嫌が悪い夏恋に気を遣って
さっと帰って行ったスダンナは

角を曲がるまで何度か振り返って
手を振り、笑いかけてくれた。







少し寂しそうな、その表情をみて

『寂しかったのは夏恋の方なのに』

と、その時は自分の事ばかり考えていた。







.

ケンカのあとには３→←ケンカのあとには

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す